2011年01月08日(土) 10:00 1
みなさん、明けましておめでとうございます。今年もなにとぞよろしくお願いいたします。
さて、2010年度JRA賞受賞馬が6日に発表されました。年度代表馬はブエナビスタでしたね。ジャパンCでの降着と有馬記念のハナ差2着があったので、3冠牝馬のアパパネ、皐月賞と有馬記念を制したヴィクトワールピサにも票が流れると思われましたが、フタを開けてみれば大差の圧勝でした。
まぁこれは、去年1年のJRAのレースで最も優れたパフォーマンスを披露した馬、という意味で、ふさわしい馬に落ち着いた、ってことでしょう。「勝った馬が強い」というポリシーをお持ちの方にとっては、不満が残る結果かもしれませんが・・・。
それはさておき、去年、ブエナビスタが制したGIは、ヴィクトリアマイルと天皇賞・秋の2つ。もし、同馬の実績が“ただそれだけ”だったら、投票結果はどうなっていたでしょうか?
同馬が2位以下に大差をつけて年度代表馬に選ばれたのは、宝塚記念、ジャパンC、有馬記念でのパフォーマンスがモノを言ったからだと思います。それは、ほとんどが2000m以上のGIでの実績。今年もまた、そういう路線を歩んできた馬が年度代表馬になったわけです。
日本の競馬の重賞体系から言うと、2000m以上のGI戦線で活躍した馬のほうが、年度代表馬に選ばれやすいんでしょうね。日本ダービーも宝塚記念も天皇賞もジャパンCも有馬記念も、すべて2000m以上のレースですから。
逆に言えば、スプリンターやマイラーに位置づけられる馬が年度代表馬となるには、高松宮記念、安田記念、スプリンターズS、マイルCSのうちの3つを制するか、あるいはそれに限りなく近い実績を残すしかないような気がします。
歴代年度代表馬の顔ぶれを見ると、2000m以上のレースにまるで縁がなかった馬は、98年のタイキシャトルくらいしかいません。この馬は、同年5戦4勝。先に挙げた1600mのGIで2勝したほか、フランスのマイルGI・ジャックルマロワ賞も制していました。これなら文句なしと言えるでしょうが、ここまでの成績を積み重ねるのは並大抵のことではありません。
去年、ヨーロッパの年度代表馬には、マイル戦線で史上に残る活躍を見せたゴルディコヴァが選ばれました。02年にも、マイルのレースにしか出なかったロックオブジブラルタルが年度代表馬になっています。マイラーが選出される可能性は、日本より高いようです。
JRAの年度代表馬にマイラーやスプリンター、あるいはダートホースが選ばれることがあったらおもしろいのに、と思っているのは、私だけでしょうか?
矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。