春のクラシック好走馬の年明け初戦考察

2011年01月22日(土) 00:00

 早いもので、JRAの新春開催(第1回中山・京都競馬)が最終週を迎えました。このところ寒い日が続いていますが、競馬の暦では、春のクラシックシーズンが確実に近づいてきています。

 そこで、2001年から去年まで10年間の桜花賞、皐月賞、オークス、ダービーで3着以内に来た馬の“年明け初戦”はどのレースだったか、netkeiba.comのデータベースを使って調べてみました。

 対象となる馬の数はちょうど100頭。複数のレースで3着以内に来た馬がいますので、この数になりました。

 すると、1月のレースを使った馬が48頭もいたんです。2月のレースだった馬=23頭を合わせると、7割を超える馬が1、2月中のレースに出ていました。ちなみに3月以降のレースから始動した馬は29頭。この結果に意外さを感じたのは、私だけでしょうか?

 春のクラシックで活躍する馬は、2歳時にある程度の実績を残し、真冬の間はちょっと休んで、3月のトライアルレースから始動するのがフツウかと思っていました。でも、考えてみれば、そういう馬は限られているんですよね。春のクラシック4レースの3着馬までを調べたので、こんな結果になったとも言えます。

 もうひとつ意外に感じたのは、1月から走った馬48頭の出走したレースでもっとも多かったのが、新馬戦だったこと(計8頭)。去年のオークスで2頭同着優勝となったうちの1頭サンテミリオン(1月5日中山)や、09年の桜花賞・オークスで2着のレッドディザイア(1月4日京都)、04年ダービー2着のハーツクライ(1月5日京都)、02年の皐月賞馬ノーリーズン(同)などがそうです。

 そして、年明け初戦が1月の未勝利戦という馬も6頭いました。06年の桜花賞馬キストゥヘヴンは、1月22日の中山未勝利戦(通算2戦目)で2着。その後、2月の東京未勝利戦でも勝てず、3月5日の中山未勝利戦でようやく初勝利を挙げ、次走のフラワーC優勝で本番に滑り込みました。08年のダービー馬ディープスカイも、1月13日の京都未勝利戦9着の後、通算6戦目となった26日の同未勝利戦でようやく勝ち上がっています。

 つまり、2歳時の実績がなくても、春のクラシックで好走する馬はいる、ということ。今年も、正月早々の新馬戦や未勝利戦に出た馬の中に、クラシックの有力候補がいるのかもしれません。

 一方で、年明け初戦が京成杯だった馬と紅梅Sだった馬が6頭ずつ、菜の花賞だった馬が4頭いました。当然ながら、これら1月のレースに出た馬は要チェック。勝ち馬だけでなく、その後のレースぶりにも注目しておきましょう。ここで負けていた馬にも、クラシックで好走した例がありますから。

 次回は、年明け初戦が2月のレースだった馬を取り上げます。では、また来週。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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