2011年01月26日(水) 00:00
精いっぱい五感を尽くして、汗をかきかき生きる。あとのことは天にお任せ。ひたすら生き続けるとは、こういうことではないか。
競馬は、この五感を尽くしてチャレンジするもので、いたずらに運ばかりを追い求めるものではないと思うのだが、逆境に陥るとそうはいかない。追いつめられると、何かにすがりつくしかなくなる。しかし、こんな状況で幸運が訪れることはない。
競馬場にいてまだお昼過ぎだと、チャレンジするにも根気がある。冷静にレースに立ち向かっているから、その検討も緻密だ。放送の仲間たちはスタンドの同じフロアにいるのでよく顔が合うのだが、まだ五感を尽くしているので無駄口はたたかない。ひたすら、ものに取りつかれたように投票を繰り返している。そして、やがてその五感にも狂いが生じ、心のコントロールが覚束なくなっていくのだ。一日の後半から終盤は、この乱れをきたす状況との戦いなのだ。
いずれも身に覚えのあることだが、先日そうした仲間の中で面白くも楽しい体験をした者がいた。
小倉、中山、京都の三場開催のレースを見比べているうち、これは分かりやすいと思った小倉の5レースの3連複を買った。7・8・11番を入れた馬券なのだが、精いっぱいの五感がこれは来るぞと告げたのだろう。さらに買い足すことにした。この買い足しが思わぬハプニングを生んだのだ。なんと、小倉の5レースのつもりが中山の5レースを買っていたのだ。
もちろん本人は小倉を買い足したつもりで結末を迎えたのだが、先に小倉が終了して手元を見たら見事的中。ところが買い足したもう一枚が中山になっていることに気がついた。そして30分後の中山5レース。これがなんと7・8・11番の3連複、しかも6万円以上の高配当に。小倉は千円台だったのに、まさに幸運としか言いようがない。精いっぱい五感を尽くした結果、天の素晴らしい導きがあったのだ。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。