王道

2011年03月09日(水) 21:00

 どれだけ本気になれているだろうか。知恵とか知識はそうでなければ身につき役に立つことはないと教える言葉がある。紀元前三百年の古代エジプトの故事から生まれたという「学問に王道なし」ということわざだ。

 エジプト王のトレミーが、ユークリッドに幾何学を学んでいた時、複雑な数式を解くのが面倒になった王が、「もっと簡単に勉強する方法はないのか」とユークリッドに質問したところ、「幾何学に王道なし」という返事がかえってきたというのだが、ここから件のことわざが生まれた。

 この手の話は、いくらでもある。早い話が「馬券必勝法」がそうだ。そんなものはある筈がないとわかっていても、楽をしてなんとかならないのかの心が、そちらに動いていくのだ。この種の必勝法が絶えないのは、そこから何等かのヒントをつかんでいる者がいるからかもしれないと、時折思ってもいるのだが、どうしても最後は信じ切れていない。

 この辺の心の揺らぎは微妙なのである。とは言っても「必勝法」は、競馬にはつきものだ。しかし、本当の意味の知恵なり知識なのかは考えなければならないのも確かだ。つまりは、やはり本気になれているかの問題を解決しなくては、前に進んでいけない。

 この時期、春のクラシックの長期展望をするには、格好のレースが毎週続く。そのひとつひとつのレースから、自分なりの見解を出していくときだ。ここで大切なのが、自分なりというところ。本気度は、ここから測ることが出来る。

 幸いにして、牝馬のレーヴディソールのチューリップ賞は圧巻だった。これなら桜花賞はと考えてもいい。一方の牡馬は、弥生賞の評価をどう定めるかだが、やや不透明なだけに、本気度が一層強くもとめられていく。これからが面白いのだ。自分自身の知恵、知識を増やしていくとき、「学ぶに老若の別なし」の精神を生かしていきたい。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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