復興のために重要なこと

2011年03月12日(土) 15:00

 大変なことが起きてしまいました。戦争を除けば、これまで日本が経験したことのないレベルの非常事態です。今は、競馬どころではありません。

 被害に遭われた方々はもとより、大きな被害を受けなかったみなさんの中にも、いつ、元通りの生活に戻れるかわからない方々が大勢いらっしゃると思います。

 私ごときが軽々にものを言うべきではないことは重々承知しています。ただ、前々回、ニュージーランド地震と現地の競馬についてのコラムに書いたように、被害を受けなかった“生業”を持った人たちが、できる限りその“生業”を続けることが、被災された方々の支援や被災地の復興のためには最も重要だと思うのです。

 競馬だけでなく、スポーツを“生業”としている人たちや、その周りで仕事をしている人たち(私もその1人です)は大勢います。そういう人たちが本来の仕事を続けていくことも、非常時だからこその重要な経済活動ではないでしょうか。

 とはいっても、繰り返し報道されている圧倒的な映像を前にしては、前に進もうとする気力が奪い取られていくような気がします。映像ではなく、そのような状況を実際に目の当たりにされた方ならなおさらでしょう。ファンのみなさんも、ひいきのスポーツを心から楽しめる状況ではないはずです。

 被災された方々の心情を慮るのは当然のこと。しかし、幸いにも無事だった人たちには、悲しみを乗り越える芯の強さも求められていると思います。

 とにかく未曾有の事態ですから、競馬を含め、あらゆるスポーツの主催者が、今はこの先をどうすべきか、判断できない状況にあります。でも、今後、それらが再開された際には、ファンのみなさんのご理解とより一層のご声援を、なにとぞよろしくお願いする次第です。今回はこのへんで。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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