2011年05月05日(木) 12:00
終わりのない逆境はない、こう心に念じて辛抱強く生き抜いた先人の話をよく聞かされたことがある。困難にぶつかったとき、どう自分に言い聞かせて切り抜けるか、ねばり強いとは知恵を働かせることとずっと承知してきた。
実に、競馬もこれによく似ている。どうしようもない状況に陥って抜け出せないともがくことがあり、こんな時ふっと気持ちを切り替える言葉なり、考え方が出てくれば、不思議と光が見えてくるものだ。
そのひとつに、様々な種類の馬券があるのだとは思えないだろうか。WIN5はともかくとして、その他の8種類の馬券の中から、そのときの自分の状況にふさわしいものを選ぶ、そこに気分転換を求めるのだ。
駄目に陥ったときのことを考えてみると、案外こんなゆとりを失くしているとは思えないだろうか。終わりのない逆境はない、こう自分に言い聞かせて、とにかく的中させることから再スタートする。高かろうが安かろうが、勝つ馬が一頭しかしないのが競馬であり、もっと言えば、複勝なら3頭までが正解という考え方もある。そして、それが嫌ならその一歩先にあるワイド馬券という手があるのではないか。
そういえば、売り上げが減少している中で去年、8種類の馬券の中で売り上げが増えたのが、複勝とワイドだったそうで、多くの方々の知恵がそこにあったというから、なるほどと頷けた。
一方で、好調はいつまでも続かないとも言う。長く続く平穏無事な状態を久安を恃(たの)むなかれという言葉が中国の古典に書かれてある。いつまでもそんなものを頼りにするなと、油断を戒めているのだが、久安のときこそ、やがてくる危機に備えなければならない。
競馬がどれほど人間を鍛えてくれるか、何だかどんどん賢くなれるではないか。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。