京王杯スプリングC

2011年05月13日(金) 18:00

 シルポートが行く公算大だが、前回の1600m1分32秒4の快勝は、「前半35秒0−46秒6−58秒0」のスローに近いペースのあと、そこからいきなり「10秒9」。直線に入る前にラップを上げる素晴らしい作戦の逃げ圧勝だった。最近の東京1400mは、本来は厳しいスプリント戦のはずなのに異常なほどスローペースが多い。そのためだろう、1600mや1800mもOKの総合力のある馬の浮上は少なく、2001年〜2005年の「5年間」では、すべての連対馬の前走が1600mだったのに対し、2006年〜2010年の5年間では、前走1200m〜1400mに出走していた「典型的スプリンタータイプ」が、連対馬10頭のうち「7頭」を占めている。

 したがって、2001年〜2005年の5年間には、ここをステップに1600mのGI「安田記念」で連対した05年アサクサデンエンのような馬が「4頭」もいたのに、最近5年間では、京王杯スプリングCをステップにした安田記念連対馬は、なんと1頭も出現していないのである。香港勢の快走も関係する。また、たまたまの片寄りともいえなくもないが、この京王杯スプリングCで明らかに展開有利となっているのは「高松宮記念」組を中心の、1200m〜1400m向きタイプである。今年も厳しい流れにはならない可能性がかなりある。「短距離の追い込み馬」のたとえはあるが、先行馬崩れに乗じて…の追い込みタイプは中心にはしにくい。

 前々回の「阪急杯1400m」を鮮やかに勝っているサンカルロから入りたい。コーナーがあまり巧くないように見えるこの馬、いつも内を狙って詰まったり、外へ行けば行ったで自分でふくれたりしていたが、阪急杯、自身の前半800mが「45秒4」の計算になるから決して控えていたのではなく、外を回って自力でスパート。1分20秒1(レコードと0秒2差)の好時計で着差以上の快勝だった。スムーズにコーナーをクリアし、他馬と交錯しかかる場面もなかった。東京では4コーナーでふくれたこともあるが、ゴチャつく中山などよりもともとは得意のコース。まして1400mはベストに近い。

 同じ高松宮記念のジョーカプチーノ(前回は道中再三の不利とロス)と、なぜかまた展開に恵まれる可能性がかなりあるシルポート本線。人気のないところでは、フィフスペトルと、スタートしだいでは先行策も匂わせているシンボリグラン(4歳以降、[0-6-4-30]の9歳馬だが)も相手に加えたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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