2011年05月21日(土) 12:00
今週はオークス。出走18頭中、3勝馬はマルセリーナ、ホエールキャプチャ、エリンコートの3頭しかいません。去年まで10年間のオークスでは、毎年少なくとも1頭は、3勝以上を挙げていた馬が3着以内に来ています。ということは、上記3頭の複勝を買っておけば、まず間違いなく当たるでしょう。
でも、それじゃぁおもしろくないですよね。
「迷ったら小さい馬を買え」。これはオークスの“鉄則”でした。なにしろ、この時期の牝馬にとって、2400メートル戦はかなりの長丁場。マラソンレースと言ってもいいくらいです。私は、女子マラソンの高橋尚子さんや野口みずきさんのような、細身で小柄なタイプのほうが好走できる、と考えてきました。
ところが、最近、その傾向が当てはまらなくなってきたような気がします。そこで、過去20年の1〜3着馬、計60頭の馬体重を調べてみました。
馬体重440kg未満の馬は、1着8回で2着と3着が7回ずつ。60頭のうち22頭、36.7%が440kg未満の小柄な馬だったわけです。逆に、470kg以上の大柄な馬は、1着3回、2着5回、3着3回。60頭中11頭で、その割合は小柄な馬の半分でした。小柄な馬の健闘は歴然としています。
ただし、440?未満の馬が馬が勝ったのは04年のダイワエルシエーロが最後。05年以降、そういう馬は勝てなくなり、2着に来たのは1頭(08年エフティマイア)、3着も2頭(05年ディアデラノビア、07年ラブカーナ)と、あまり目立たなくなってしまいました。
その節目となったと思われるのが06年。484kgのカワカミプリンセスが優勝、2着に494kgのフサイチパンドラ、3着に488kgのアサヒライジングが入って、大柄な馬が上位を独占したんです。
そして、ここ2年は470kg以上の馬が続けて連対を果たしたのに対し、440kg未満で3着以内に来た馬はゼロ。「小さい馬を買え」という“鉄則”は、昔のものになっちゃったんでしょうか。
さて今年。前走出走時と今回の調教後の馬体重を見ると、440kg未満で出てきそうな馬がけっこういます。反対に、470kg以上の馬は少なそう。抜けた存在と思われるマルセリーナとホエールキャプチャは、たぶんどちらでもないでしょう。
ということは、かつての“鉄則”で穴馬を探すには、選択肢が多くて悩まされるはず。一方、ここ数年の傾向から“逆説的”に大柄な馬を選ぶなら、簡単に絞り込めてしまいます。迷っているあなた、どうします?
馬券は別として、今年のオークスは馬体重440?未満の小柄な馬の復権があるかどうかが見どころのひとつ。今回、そういう馬が3着以内に来なかったら、オークス戦線は大柄な馬有利の時代に入ったと考えるべきかもしれません。さぁ、結果はどうなるでしょうか。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。