目先と長い目の使い分けをどうするか

2011年06月02日(木) 12:00

 長い目で見る、この反対が、目先の対応に追いまわされる。こうはなりたくないと思っていても、いざその時になると、遠い先のことまで考えが及ばない。よくあることだ。

 この長い目で見るは、当たり前のことと言ってしまえばそれまでだが、そうとばかり言えないことがあるから厄介なのが現実で、どう知恵をしぼるか、それが肝心。生きていくということは、この目先と長い目の使い分けをどうするかなのかもしれない。

 まさに、競馬だってそれにあてはまる。サラブレッドの配合、ちょっと考えても、長い目と目先の対応の両面を持っている。

 よく国と国との友好をうたうとき、子々孫々までという言葉が出てくるが、これなんかサラブレッドの配合を長い目で見たときにはピッタリくる。大きな夢ほど、その先は長いから、これがいい。

 ところがレースとなると、そうとばかりは言えない。目先の対応もしていかなくてはならない。しかし、そんなときでも、それはそれで次のこと、或いは次の次のことを視野に入れた対策を立てて実行していくことだってある。そのひとつひとつが、まるで階段を上がっていくように達成されたときに、勝利の栄冠が。

 史上22頭目の春の二冠馬オルフェーヴルは、新馬戦を勝ってから4戦続けて勝てずにいた。それがスプリングSから3連勝で世代の頂点に。これこそ、次の、或いは次の次を考えた対応を積み重ねた成果といえる。そして、父のステイゴールド、母の父メジロマックイーン、これこそ父子二代にわたる池江ブランドであって、子々孫々の長い目が生きているのだから面白い。池江泰郎・元調教師が、まるで私の孫みたいなものですと話しておられたが、オルフェーヴルは、長い目で見た夢と、目先の対応での現実とを同時に達成したのだから凄い。これで間違いなく当面の対策に追われる必要もなくなった。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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