2011年06月01日(水) 18:00
5月24日、25日の両日にわたり札幌競馬場で開催されたトレーニングセールは、終わってみれば過去10年間で2番目に高い61.86%の売却率を記録し、2歳馬の即戦力を求める需要が一定数あることを示した。
その反面、価格は予想されたように落札平均価格が500万円を割り込み、1歳秋からの育成費用を考えるとかなり厳しい数字となった。
そこで今回は、昨年のトレーニングセールにて取引された落札馬の「その後」を追ってみることにする。
昨年は179頭が上場され、100頭が落札された。以下、高額順に落札馬の現在における競走成績を列記してみる。馬名(父名、性別)、成績、獲得賞金(TS時の落札価格=税抜き)という配列にしてある。
[1]ジャービス(ゼンノロブロイ牡)8戦1勝2着2回 1260万円(5300万円) [2]コンノート(キングカメハメハ牡)5戦2勝3着1回 1530万円(2600万円)*青葉賞出走 [3]リキアイギムレット(タニノギムレット牡)7戦 125万円(2500万円) [4]コスモゴールデン(ゴールドヘイロー牡)3戦2着1回3着2回 610万円(1870万円) [5]キンシゴールド(ゴールドアリュール牡)5戦(地方2戦3着2回) 11.2万円(1100万円) [6]フォースワン(タイムパラドックス)2戦(1010万円) [7]シナトラソング(アグネスデジタル牡)4戦1勝3着1回 660万円(1000万円) [8]ダイシンライン(リンカーン牡)2戦(1000万円) [9]ベストマイヒーロー(サクラプレジデント牡)*岩手7戦6勝2着1回 1484万円(1000万円)*南部駒賞優勝 [10]モカビーン(タイキシャトル牝)4戦(1000万円)
ここまでが税抜き1000万円ラインである。中央デビュー組が9頭。そのうち3頭が現時点では勝ち上がっており、1頭は2勝して青葉賞まで駒を進めた。また地方ながら岩手デビューのベストマイヒーローは期待に違わぬ好成績を挙げており、更なる活躍が見込まれる。
もう少し範囲を広げてみよう。
[11]シーグランディ(ジェニュイン牡)*岩手10戦4勝2着1回3着2回 1316.2万円*中央出走4戦含む(910万円)*福島2歳S2着 [12]サイレントロイヤル(スウェプトオーヴァーボード牡)*川崎8戦2勝 174万円(900万円) [13]キンショーユウジャ(アグネスデジタル牡)9戦1勝2着1回3着3回 1230万円(900万円) [14]クラウンフィデリオ(アッミラーレ牡)4戦1勝3着1回 1105.6万円(890万円)*福島2歳S3着、新潟2歳S出走 [15]シーザライト(スペシャルウィーク牡)1戦(800万円) [16]グランパズデライツ(アルカセット牡) 未出走(800万円) [17]ゴールドエタンセル(バゴ牡)4戦3着2回 310万円(770万円) [18]サンライトムーン(キングカメハメハ牝)6戦1勝2着1回 770万円(700万円) [19]カフェヒミコ(Bandini牝)7戦2勝2着1回 1510万円(700万円)*桜花賞出走(8着) [20]オレンジカウンティ(ワイルドラッシュ牡)*大井5戦3着1回 112.5万円(700万円) [21]ビップセンノセン(アフリート牝)9戦1勝2着2回3着1回 1200万円(700万円) [22]パシオンルージュ(ボストンハーバー牝)5戦1勝2着2回3着1回 1260万円(700万円)
ここまでが落札価格700万円。11位から22位までの全12頭のうち地方組3頭を除いた9頭が中央入りし6頭がすでに勝ちあがっている。しかもこの中には桜花賞に出走したカフェヒミコもいるのは驚きだ。大出世と言って良かろう。
また岩手デビューの2頭(ベストマイヒーロー、シーグランディ)はともにかなり成功の部類であろう。
セールからちょうど1年が経過したところで、まだ今後の上積みが期待できる。日高(を中心とした)のトレーニングセール出身馬もそれなりに健闘している印象だ。
いずれ別の機会に、今度はもっと範囲を拡大して改めて検証しようと思う。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。