ジュライS

2011年07月08日(金) 18:00

 4歳馬は、エーシンホワイティ、エーシンリターンズの2頭だけ。つまり、獲得賞金が計算上半分になった4歳=春シーズンまで「オープン」だったのは、この2頭だけという1600万特別。人気のこの2頭で決まるほど簡単に決着するとは思えないが、3歳馬の出走はなし。5歳以上のベテランは、現在2連勝中のチャームポット(タマモホットプレイの全妹)に勢いがある程度なので、中心は4歳馬2頭のどちらかだろう。

 牡馬エーシンホワイティ中心としたい。誉め言葉にならない危険があるが、父サクラバクシンオーはずっと長くスプリント部門をささえるチャンピオン種牡馬として大活躍してくれた。不滅のプリンスリーギフト系の幹でもある。また、母の父になるサンデーサイレンスは説明不要の歴史的種牡馬である。だが、しかし、サンデーサイレンス(最大の長所爆発は中距離だろう)があまりに偉大すぎ、短距離界でも、長距離部門でも強烈な影響力を及ぼしすぎたため、世界ランキングに入るような「中距離タイプ」は良かったが、スプリンター部門には新しい種牡馬がなかなか入り込めなかった。懸命にがんばったのがサクラバクシンオーの父系だが、日本の短距離部門の「種牡馬のエース格」にとどまるところもあり、バクシンオー自身や、その父サクラユタカオーを超えるチャンピオンは(いままでのところ)、送ることができなかった。「香港スプリント」級でも、近年は手も足もでないくらいで、ウルトラファンタジーに完敗した馬などむこうも招待したくない。残念ながらスプリント部門のレベルは低くなってしまったのである。アグネスワールド、タイキシャトル、シーキングザパール…などは、ひと昔まえのことになってしまった。

 エーシンホワイティは、こと血統面では停滞をもたらした象徴的な父母両系の結晶で、なおかつ祖母はニッポーテイオーの半妹タレンティドガールである。全然、誉め言葉にならず、また、前回は同じサクラバクシンオーを父にもつダッシャーゴーゴーに完敗だが、別に振りかぶる必要もなく、ここは1600万条件。初めて出走した今回と同じ京都1400mの2走前は「1分20秒0」。あと一歩で勝ちを逸した「ハナ差」だった。まだ4歳の夏。同期のダッシャーゴーゴーなどに追いつき、もっと強くなれる可能性はある。同じ4歳の牝馬エーシンリターンズは怖いが、距離適性で一枚上と期待したい。

 あえて手を広げたくなる伏兵は少ない。チャームポットが大外18番を引いてしまったので、内のホーカーハリケーン、カイシュウボナンザ。穴馬は前回までエーシンホワイティに乗っていた北村友一騎手のシェーンヴァルト。この距離なら折り合いうんぬんもなく、下げる必要もないだろう。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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