大井の重賞に外国招待馬が出走する意味合い

2011年07月20日(水) 12:00

 8月3日に大井競馬場で行われるG3サンタアニタトロフィー(ダート1800m)に出走する外国招待馬レッドアラートデイ(セン6、父ディクタット)の来日が、目前に迫っている。

 レッドアラートデイは、ダーレーの生産による英国産馬だ。母は、アイルランド・カラ競馬場のG3グリーランズS(6F)の勝ち馬ストライクハード(その父グリーンデザート)。その4番子に当たるのが、レッドアラートデイである。おじに香港G3センテナリーヴァーズ(芝2000m)勝ち馬ドクターモア、近親にランドウィックのG1シャンパンSを制して豪州2歳牝馬チャンピオンとなったイゾルダがいるという牝系を背景に持つ。ちなみに、本馬の1つ年下の弟コーラスマスター(父シングスピール)は、ダーレー・ジャパンの所有馬として船橋の川島正行厩舎に所属し、5勝を挙げている。

 06年10月に英国ニューマーケットで開催されたタタソールズ・オクトーバーセールに上場された同馬は、ギャラガー・エクワイン社に4万ギニーで購買され、同社の所有馬としてニューマーケットに本拠地を置くノエル・キャラハン厩舎から2歳5月にデビュー。3歳末まで15戦し、勝ち星は1勝のみに終わったものの、2歳秋にはケンプトンのオールウェザーのG3シレニアS(6f)で2着。3歳春には、二千ギニーへの前哨戦の1つであるG3グリーナムSで、後にマイル戦線でG1・3勝を挙げるパコボーイの3着になるなど、悪くない成績を挙げた。

 4歳シーズンから、北米西海岸に移籍。北米初戦となったサンタアニタの一般戦(芝6.5F)でいきなり勝ち星を挙げたのを皮切りに、ここまで3シーズンで通算5勝をマーク。5歳春には、サンタアニタのG1フランクキルローマイル(芝8F)に挑み、ここを皮切りにG1・4連勝を果たすプロヴァイゾーから2馬身遅れの5着に入る健闘を見せた。

 2歳の5月にデビューするという早熟性を見せた一方で、成長力も発揮しているのがレッドアラートデイだ。今季だけで既に3勝をマーク。6月11日にハリウッドパークで行われたG1チャーリーウィッティングハムH(芝10F)では、前年に続いてこのレース連覇を果たしたアクラメーションの4着に入り、G1競走における入着という生涯最高の成績を収めている。

 前走、7月7日にハリウッドパークで行われたクレイミングレース(芝10F)を制した際に、現オーナーのシュアレス・レーシング社が4万ドルでクレイムすることに成功。前走までのジョン・サドラー厩舎からダグ・オニール厩舎に移籍した上で、日本遠征を敢行することになった。

 ダグ・オニール師と言えば、03年のジャパンCダートをフリートストリートダンサーで制したことで日本でも知られる、西海岸のトップトレーナーだ。スティーヴィーワンダーボーイで05年のBCジュヴェナイルを制したのをはじめ、ブリーダーズCに3勝。G1・7勝を挙げたラヴァマン、アーリントンのG1セクレタリアトSを制したシャムディナン、昨年秋にキーンランドのG1アルシバイアデスSを制したウィキッドリーパーフェクトなど、これまで手掛けた活躍馬の名を挙げれば枚挙に暇がない。

 レッドアラートデイが北米移籍後に走った20戦は、全て芝のレースだ。英国在籍時も、全15戦中12戦が芝で、残りの3戦はオールウェザートラックだった。すなわち、これまで一度もダートを走ったことがないのが、レッドアラートデイなのである。

 そういう戦績の馬で、大井のレースに挑む決断を下したのは、ダグ・オニールだ。フリートストリートダンサーを率いて来日した際、アメリカと日本の「ダート」の質が異なることを身を持って知り、日本の「砂馬場」であれば、アメリカの芝馬で充分に対応出来るとの判断に至ったようだ。

 レッドアラートデイは今週木曜日に成田に到着し、那須にある地方競馬教養センターで入国検疫を行った後、27日(水曜日)に大井競馬場に入ることになっている。

 サンタアニタトロフィーへの外国調教馬招待は、今年から国際G1として行われる暮れの東京大賞典へ向けた、予行演習的意味合いがあることは間違いなく、それだけに、レッドアラートデイの輸送、検疫、大井での滞在が、スムーズに進行することを切に願う。そして、レース結果はともかくとして、レッドアラートデイ陣営が大井に対して好印象を抱いて帰国してもらいたいものである。

▼競馬界関係者のチャリティオークションを開催

7月28日(木)、六本木の国立新美術館にて、競馬サークル有志による「第1回 Uooomaチャリティーオークション」が開催されます。同イベントは福島の競馬文化復興支援を目的とし騎手や調教師など多数の著名な競馬関係者によるチャリティオークションです。オークションの落札金額は福島競馬復興のための支援に使用されます。詳しくはコチラをご覧下さい。 ▼ 合田直弘氏の最新情報は、合田直弘Official Blog『International Racegoers' Club』でも展開中です。是非、ご覧ください。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

新着コラム

コラムを探す