日本海S

2011年07月22日(金) 18:00

 ローカル競馬場にしては、バラエティーに富む新潟のさまざまな距離。2200mは最初のスタンド前の直線を約3ハロン走ったあと、内回りでコーナー4回。前半はスローになるケースが多いが、最初に「最後に回る4コーナー地点」を見ながら通過するためなのだろう(?)。いやでも内回りを意識するスパートも多く、展開の読みは難しい。

 今回のメンバーの中では、アサティスボーイが新潟2200mを5回経験し、「2、2、1、3、2着」。いかにもジリ脚でコースは合わないようなイメージを与えながら、早めにスパートして好走を続けている。このレースも「3着、2着」である。

 人気馬コスモラピュタのマイペースの公算大。それもスローに近い平均ペースの…。前回は中山の2200mを2分11秒7の好時計での逃げ快勝。さすが、GII阪神大賞典を0秒7差。菊花賞を0秒3差の底力だった。まだまだパワーアップがある。

 ただ、この馬、ここまで16戦、ほとんどのレースで逃げを打っているが、自身の最高上がり3ハロンは500万条件を逃げ快勝時の「34秒8」にとどまる。スロー〜平均ペースの逃げがほとんどだが、速い上がりでまとめたことが一度のないのが死角だろう。

 アサティスボーイが再三好走するように、早めに動く馬がいる場合も多く、つれてレース上がりも「速くならない」のが新潟2200mの特徴ともいえるが、開催2週目の芝はいい。マークを受け、高速上がりになった時には案外危ない危険もある。

 直線が平坦の京都で3勝中2勝。スローの前回は上がり「33秒1」を記録したレッドスパークル(父ニューイングランド)を狙う。形は格上がりだが、2歳後半から3歳はじめにかけ、エイシンフラッシュ、ローズキングダムなどと接戦していたこの馬、皐月賞も勝ったヴィクトワールピサと0秒7差しかなかった。そのあとの不振は「のど鳴り」のため。3歳秋から7ヶ月も休み、のどの手術。この病気、完治したかどうかは難しいが、前回、1000万特別を勝ってこのクラスに盛り返してきたから、不安は解消したに近い。

 母クリスタルコーラルは、桜花賞馬キストゥへヴンの半姉。エリザベス女王杯など6勝したロンググレイスが、祖母ロングバージンの半姉。もともとラッキーオカメ、スピーデイタイガー、ロングシンホニーなどが代表馬に名を連ねる「平坦巧者」の一族でもある。

 3コーナー過ぎから一気にペースアップの切れ味勝負を想定したい。コスモラピュタはそう評価を下げられないが、高速上がりの2200mと考えたのだから、急上昇中のエーブチェアマン、軽いレース向きと思えるアロマカフェ、さらに前出のアサティスボーイも互角の評価の相手。牝馬ディアアレトゥーサ、田辺騎手のバアゼルリバーまで手を広げたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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