新潟・小倉両2歳Sを狙う西園勢

2011年08月25日(木) 18:00

 毎年のことですが、この時期の2歳馬は本当にかわいい。まだレースというものをあまり経験していないこともあり、表情はあどけない。将来、ムキムキの筋肉をつけるであろう馬も、この時期はまだ細身だったりします。

 このコーナーでも何度か取り上げているシゲルスダチもひじょうにあどけない。6月くらいから見ていますが、表情の幼さは当時とあまり変わっていません。

シゲルスダチ1

「運動中もよく『かわいい』と声をかけられるんですよ」と担当の鈴木さん。2歳馬にしては白い芦毛だし、眼が大きくクリッとしているからとても目立ちます。

 そして今回、発見したのは額のある2つのツノの名残り?のようなもの。オデコに擦り傷を見つけた(顔のアップ。向かって右側、額の星の右上の皮がむけています。わかりますか?)のですが、スダチの場合、この小さな出っぱりがある故に擦れてしまうようです。

シゲルスダチ2

 はて、この出っぱりの正体は?と「馬の医学書」や「馬の毛色と特徴」という本で調べてみましたが、結局わかりませんでした…。しばらく気にしてみたいと思います。

 前走のフェニックス賞は不利を受けて2着に敗れるというひじょうに惜しい結果でした。

「あれは悔しかったね。上がりの脚はいちばん速かった(35秒0)だけに残念」と西園師も悔しそうでした。

「でも、馬はひじょうに元気だからね。小倉2歳Sへ向かいます」(西園師)

シゲルスダチ3

 一方、新潟2歳Sにはハッシュドトーンが出走を予定しています。鞍上は石橋脩騎手。西園厩舎の馬に結構騎乗しますが、西園師は石橋騎手のことを「地味だけど隠れた名手ですよ」と高く評価しています。

ハッシュドトーン

 その背景にはこのコンビのこんなエピソードが。さかのぼること2006年、マイネルレーニアがデビューした頃のことです。マイネルレーニアは新馬こそ負けましたが、そのあと石橋脩騎手に乗り替わった未勝利戦は2着に4馬身差、ダリア賞は5馬身差で快勝。しかし、このコンビで迎えた新潟2歳Sでは1番人気に押されるも、ハナ+2馬身差の3着に敗れるという結果に終わりました。そして時は流れて、2010年のアーリントンC。コスモセンサーは石橋脩騎手を背に逃げ切り勝ちをおさめ、このコンビ初の重賞制覇となりました。そのときの検量室でのこと。引き上げてきた石橋脩騎手の目には涙がキラリ。西園師は最初、重賞勝ちがよほど嬉しいのか?と思ったそうです。しかし、石橋脩騎手の涙の理由にはもっと深いものがあったのです。

「あの新潟2歳Sで1番人気のマイネルレーニアに乗せていただいたのに勝てなかった。今日、やっと恩返しが出来ました」

 義理とか人情とか、ちょっと古いかもしれないけれどすごく大事ですよね。石橋脩騎手の人柄にグッときました。そんなコンビで迎える新潟2歳Sとあっては、注目しないわけにはいきませんね。

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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