2011年11月23日(水) 18:00
去る11月17日(木)、今年度の道営ホッカイドウ競馬の全日程が終了した。15開催80日間で、115億7138万円を売り上げ、対前年比で102.5%、計画比でも102.7%と健闘し、実に1991年以来20年ぶりとなる“単年度黒字化”も見えてきた。
最終日となった17日は、恒例の第54回道営記念が行われ、寒空の下、フルゲートの16頭が出走し、1番人気のショウリダバンザイが2番人気のリフレックス(父グランデラ、牡6歳)を4馬身差で抑えて2分6秒8のタイムでゴールインし、見事に人気に応えた。
見事人気に応えたショウリダバンザイ
レースは、エイシンイッパツとネガイヲコメテがリードする展開で進み、ショウリダバンザイは中団やや後ろから追走。リフレックスが3〜4コーナーから仕掛けて先頭に立ちかけた時、好位につけていたショウリダバンザイが抜け出し、そのまま他馬を寄せ付けず独走態勢となった。
着差以上の強い勝ち方で、上り3ハロン38秒6は16頭中最速。南関東で一線級に揉まれてきた実力は伊達ではなかった。
ショウリダバンザイは、父プリサイスエンド、母オレンジスペシャル(その父ジェイドロバリー)という血統の4歳牝馬。20戦8勝2着3回3着2回。これまで掲示板を外したのはわずか2回だけという極めて堅実なタイプで、獲得賞金は8366万5000円。3歳時には南関東で桜花賞(浦和)、ロジータ記念(川崎)を制している。
関係者喜びの口取り
馬主は林正夫氏。林和弘厩舎所属。愛知の吉田稔騎手が騎乗。生産者は浦河・山口義彦氏。
馬主の林正夫氏は、元道営競馬の調教師であり、若かりし頃には騎手でもあった。今回のショウリダバンザイの優勝により、林正夫氏は、同一重賞を、騎手で過去3回(ホワイトパール=1964年、シュナイダー=1965年、ヘンリーフレンド=1968年)、調教師に転じてから2回(ハッピシルバー=1983年名、1986年)と合わせ、6回目の制覇となる偉業を達成した。 近代競馬黎明期の古き良き時代ならばいざ知らず、近年おそらくこんな例は他にないのではあるまいか。 なお、今年度のリーディングジョッキーは服部茂史騎手が99勝を挙げ、2年連続でタイトルを獲得した。
中津競馬でデビューした服部茂史騎手は2000年よりホッカイドウ競馬に移籍し、トップの座に上り詰めた。
また、道営記念の前に行われた11レース、キングカメハメハ・プレミアム競走において、小国博行騎手がグレンチェック(牝5歳)に騎乗し、2000勝を達成したことも触れておきたい。
服部茂史騎手と同じく、小国博行騎手もまた、廃止された上山競馬場からの移籍組だ。道営所属騎手としては2人目となる快挙で、今年度の開催最終日に区切りをつけることができた。ゴール前では右手の鞭を高く上げて喜びを体一杯に表していた。
小国博行騎手2000勝目
また、リーディングトレーナーは、83勝を挙げた原孝明師が5年ぶり6度目の獲得であった。
今後、ホッカイドウ競馬は半年間の長いシーズンオフとなり、その間は道内各地に展開する場外発売施設(Aiba)にて、ばんえい競馬や道外の地方競馬の馬を発売することになる。
ひとつ気になるのは、今年度の売り上げ115億円余の内訳で、ネットと電話投票が前年比109.1%の60億5122万円と大幅増だったのに対し、他主催者への委託発売分が101.7%の18億2634万円余、そして肝心の道内発売分が93.5%の36億9380万円余にとどまったことである。
それとともに入場人員も、本場と道内の場外施設を含めて今年度は34万8128人と、前年より2万5712人の減少となったことも懸念材料だ。
堅調なネットと電話投票、前年より微増の他主催者による発売と比較すると、地元北海道での数字の落ち込みが何とも気になる。
改めて、道営ホッカイドウ競馬を道民がいかに支え守って行けるかを考えなければなるまい。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。