2011年12月01日(木) 18:00
先週、このコラムでブエナが絶好調だという様子をお伝えしましたが、そのとおりジャパンCでは実力を発揮してくれましたね。ブエナが勝って松田博師に祝福の言葉を伝えにいったら「な?一番強かったろ?」と溢れんばかりの笑顔を見せてくれました。そして、そのあとの記者会見では昨年のジャパンカップでのことを聞かれ、思わず男泣きを見せていました。珍しい。
実は先週松田師と話した時、やはり昨年の秋シーズンの話になりまして、スミヨン騎手がその後の有馬記念で「ずいぶん外を回っていた」ことをとても気にかけていました。確かに、直線での追い出しでは明らかに大きく外を回っていましたよね。ヨーロッパで数々の厳しいレースを勝ち抜いてきたスミヨン騎手だけに、傍目にもあれだけ離れた外を回っていたのは不可解でした…。今回、晴れてブエナが強い競馬をしたことでそれまでのさまざまな思いが交錯したのではないでしょうか。
ブエナビスタは次の有馬記念がラストランになります。「いつもどおり」が口癖の松田師がJCレース後の記者会見で「最高の状態で使えるように努力してみたいと思う」と言葉にするのですから、このレースに賭ける意気込みは相当なものがあると見ました。昨年は、あれだけ大外をまわった上に直線が決して長くはない中山でよく2着に届いたものです。あと3週、ブエナがどんなふうに体をつくり、厩舎がどう仕上げていくのか、しっかりと見届けたいと思います。
いい競馬といえば、5着のウインバリアシオンは積極的な攻めの競馬をしましたね。向こう正面過ぎに先頭へ躍り出たのにはすごく驚きました。でも、これはウインバリアシオンの長所が出てしまったから。この馬は道中はまったく引っ掛からないのにスイッチを入れた途端、ギアが入って加速します。今回は勝つために流れがスローに落ちたところで安藤騎手が積極的に動いたところ、ギアが入りトップに躍り出たようです。
「しかし、その後が強かった。最後の最後まで踏ん張って五着にきたのですから価値のあるレースだったよ。」(松永昌師) 来年、ポジションをとりにいくような“ズルさ”を兼ね備えたら、どれだけ強い馬になるんでしょうね。「まだまだ奥がある」(中山助手)という意味がよくわかった気がしました。
水曜朝、ノーザンファームしがらきへ放牧に出たウインバリアシオン。来年の大目標は天皇賞(春)。その前に一戦、阪神大賞典か産経大阪杯をステップレースにする予定です。
最後に。アパパネとカレンチャン、パドトロワが香港へ出国しました。水曜の午後4時に栗東を出発。同日午後9時20分の飛行機で旅立つ予定がエンジントラブルにより木曜の昼12時に変更になりました。予定以上、馬房ではない場所に居ることになったのはちょっと心配ですね。
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花岡貴子
デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)