ラジオNIKKEI杯2歳S

2011年12月23日(金) 18:00

 距離2000mになったのは1991年以降。関西所属馬の大攻勢と歩調を合わせるように、年ごとに評価は上がり、レベルも高くなった。

 2000年の「アグネスタキオン、ジャングルポケット、クロフネ」あたりから、ますますその傾向は顕著になり、毎年のようにこのレースからのちのクラシックホース、GI馬が育っている。朝日杯FSはGI競走。一方、こちらは引き続きGIII。さすがにそろそろレースランクも見直されるだろう。世界共通のランクが基準であるグレードレースとは、本来そういうものである。

 先週の朝日杯FSは、たった3頭しか出走していなかった関東所馬の1〜3着独占だった。喜ばしいこと限りないのは確かで、勝ったアルフレード(父シンボリクリスエス)は文句なしにGIホースにふさわしい。だが、総勢13頭も出走していた関西所属馬が、来期の3歳GIを展望するトップグループだったかというと、そこのところはかなり疑問。このNIKKEI 杯が終わると判明する。来期のクラシックを展望に掲げるグループは、この重賞は地元という理由もあるが、いまは朝日杯FSには意義を探しにくいだろう。両レースを回避し、一足早く充電に入った東スポ杯のディープブリランテも含めて。

 大きな展望を掲げてもいい候補がそろっている。「アダムスピーク、グランデッツァ、ゴールドシップ、サンライズマヌー、トリップ、フレージャパン…」など。

 スケール上位とするにはちょっとファミリーの総合力に大きな疑問があるが、この時期の2〜3歳重賞ならまだ底力や、あふれる成長力は問われない。札幌2歳Sのレース内容が光った「ゴールドシップ」から入りたい。坂路の調教ではあまり目立たないが、これは完全に芝の実戦向きのため。北海道シリーズより明らかにパワーアップしている。

 札幌2歳Sでは、先行して楽々と抜けたグランデッツァに及ばなかったが、スローにも近かった前半1000m通過61秒6の札幌1800mで、ちょっと前半に置かれたゴールドシップは、4コーナーを回るあたりでまだ最後方に近い位置取り。とても勝ち負けは無理と思えたが、馬群を割って猛スパート。抜け出していたグランデッツァには半馬身及ばなかったものの、先に2番手に上がっていたマイロブスト(先週の朝日杯2着)を鋭く捕らえて2着。明らかに脚を余したというか、全能力を発揮しての敗戦ではなかった。グランデッツァとは互角のランクとしたい。

 父ステイゴールド、母の父メジロマックイーン。ファミリーが異なるから決してオルフェーヴル同配合とはいえないが、少なくともステイゴールドの良さと、母の父となったメジロマックイーンの真価は伝えているはずである。

 来期のクラシックが楽しみなグランデッツァ、サンライズマヌー本線に、トリップ(クロフネもそろそろ芝での大物を送りそうに思える)、アダムスピーク,エネアド、フレージャパンあたりまで手を広げたい。

【お知らせ】
『土曜メインレース展望』の次回更新は1/4(水)になります。ご了承の程よろしくお願い致します。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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