須貝尚介調教師の活躍に見る<血のロマン>

ご存じのように、今や大先生にまで上り詰めた須貝尚介調教師。
失礼だが、騎手時代からは想像も出来ない大出世だ。
須貝尚介調教師は父が彦三、叔父が四郎。
オールドファンからすれば、タイテエムに乗った兄弟だ。
中でも私の印象に残るのが、生前エキサイティング競馬のパネラーだった叔父の四郎さん。

彼は仕事そっちのけで甥っ子の尚介騎手を心配する。
「この馬本命にしたんですが、尚介なんでね。そこが心配。」
「尚介が乗ってるからドキドキする。」
そんな姿に心温まるファンも多かったのではなかろうか。
早くに逝ってしまった四郎さん。
きっと甥っ子が心配でたまらなったのでは。

尚介調教師は騎手時代、芦毛のハクタイセイできさらぎ賞を制している。これが騎手としては彼にとっての初重賞。不良馬場で人馬共泥だらけの勝利だった。
しかし残念な事に、本番の皐月賞では南井騎手に乗り替わってしまい彼らは優勝してしまう。つらい経験だっただろう。
しかし今年、くしくもその皐月賞で調教師として初G1&クラシック。芦毛のゴールドシップで、しかも不良馬場での制覇は何やら出来過ぎの様で有った。
天国の四郎さんが書いたシナリオかも知れない。

しかし彼らがやり残した仕事が有る。ダービー制覇だ。
四郎さんのタイテエムは早く動き過ぎと云われ、3着惜敗。(もっとも彼はあのタイミングで良かったと反論している。)
一方、今年のゴールドシップは仕掛けが遅れたと云われ、脚を余して5着。ハクタイセイもダービーは5着だったから、これも四郎さんのシナリオかもしれないが...
ファンとしては近いうちにダービー制覇のドラマを完結してもらいたいと思うし、世界のステージにも行ってもらいたいと思う。

尚介調教師の挑戦は来年以降も続く。この挑戦は須貝家の血の結集でも有る。
競馬はブラッドスポーツなんだと、つくづく思った次第である。