馬作りの基盤がしっかり「国枝&蛯名ライン」

2012年01月20日(金) 12:00

 先週行われた東西の重賞レース。トゥザグローリー、ベストディールの強さが際立つ内容でしたね。

 まずトゥザグローリーですが、やはりここでは力が上といった感じ。また道中のレース運びを見る限り、この馬は馬群で我慢をさせた方がいいタイプだと改めて感じるものでした。

 秋G1を3戦しての中2週、決してラクとは言えないローテーションの中でこういったレースができたことがとても収穫だったと感じます。この馬はこれまでのレースにおいて、途中で嫌気をさしてしまうと掛かってしまうこともあったタイプ。

 それだけに今回、精神的な強さも備わってきている、そんな風にも感じました。「昨年以上の年になりそうな気がする」と話されていた池江師。今年は、国内に留まらず海外においても輝きを放ちそうですね。

 一方、中山で行われた京成杯ですが、蛯名騎手凄いです。

 この週末の競馬は、特に蛯名騎手を中心にレースを見ていたのですが、相手の動きや仕掛けを十二分に理解した上での道中のポジション取り。ゴール前でキッチリと相手を捕らえ、勝利するシーンが多く見受けられました。そしてこのベストディールに関しては、クラシック戦線を歩む上での大切なものをキッチリと理論立てて臨まれていました。とにかくこの時期というのは、予想や馬券を買う側にとっては、ポテンシャル重視でいくか?完成度の高さでいくか?そのどちらかだと思います。

 一方、馬を作り上げていく陣営においては、この馬でクラシック戦線を歩めると感じる馬においては、ノビシロを考えた上での逆算された馬作りに。ですからパドックにおいてみたベストディールの姿は、完全にユルサがあり出走馬の中での完成度は低い方だったと思います。ですから完成度の高い馬が逆転できるのかな?とも思えましたが、この状態でのこのレース振りに、今後、この出走馬の中では、最もノビシロが見込める馬で、クラシック戦線で戦える素材なのだということを認識付けるものでした。

 レース後、蛯名騎手に当日の馬の状態やこれからのことなどお聞きしたのですが、改めてこの「国枝&蛯名ライン」、これはアパパネで培われた馬作りの基盤がしっかりとあるだけに、ベストディールも、一歩、一歩、確実に成長をしていく、そんな風に感じました。
蛯名さんの馬作りに対する考え、理論というのは、職人だなぁ〜と感じる部分が多くて、私は大好き。

あ〜ステキです。

 さて今週も東西で重賞レースが行われますね。それでは皆さん、週末は競馬場またはフジテレビ「みんなのKEIBA」でお逢いしましょう。ホソジュンでしたぁ。

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細江純子

愛知県蒲郡市出身。JRA初の女性騎手として96年にデビュー。2000年には日本人女性騎手初の海外勝利を挙げ、01年6月に引退。 現在はホース・コラボレーターとして、フジテレビ系『みんなのKEIBA』などに出演。

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