2003年01月21日(火) 12:42 0
今年秋の欧州における主要なイヤリングセールの日程が、再変更になった。
“再変更”ということは、既に発表されていた最初の“変更”があったわけだが、まずは当時の状況から説明していきたい。
欧州最大手のタタソールズ社が、秋一連のイヤリングセールの日程変更を発表したのは、昨年の8月のことだった。これまでニューマーケット競馬場のケンブリッジシェア開催(9月末、もしくは10月1週目)と時期を合わせて行ってきた欧州最高のイヤリングセール『ホウトンセール』を、今年は日程を1週間早めて9月第4週(9月24日・25日)に行うことを決めたのである。2歳G1のチーヴァリーパークSやミドルパークSが行われるケンブリッジシェア開催とのリンクは、遠来の客にとって名物レースとセールの双方を楽しめる利点があったものの、午後に競馬で夜がセールという日程が忙しかったことも確かで、関係者間の話し合いによってニューマーケットで競馬のない週に移行されることになった。
これに伴い、これまで9月第4週に行われていたタタソールズ・アイルランド・セプテンバー・イヤリングセールを、1週間繰り上げて9月3週目(9月16日・17日)に移行。
更にタタソールズ社は、これまで10月3週目にニューマーケット競馬場のチャンピオンズ開催とリンクして開催してきたオクトーバーセールを、旧来ホウトンセールを行っていた10月第一週(9月30日から10月4日)に移行。同時に、10月最終週に行ってきたオータム・イヤリングセールを、旧来オクトーバーセールを行っていた10月第3週(10月15日から17日)に移行し、10月第一週のセールを『オクトーバーセールPart1』、10月第3週のセールを『オクトーバーセールPart2』と名称を改めるなど、イヤリングセールの大改訂を発表していたのであった。
ところが、予期せぬ事態が起きたのが、1月17日だった。
アイルランド最大のせり会社『ゴフス』が、03年のセール開催日程を発表。こちらも秋のイヤリングセールの日程を変更したのだが、これまで10月第2週(ホウトンの翌週)に開催していたアイルランド最高のイヤリングセール『オービー/チャレンジセール』を、03年は9月第3週(9月16日から19日)に開催すると発表したのである。
これに驚き、激怒したのがタタソールズ社である。なぜなら、ゴフスが『オービー/チャレンジセール』をやると発表した日付けは、5ヶ月前にタタソールズ社がアイルランドでセプテンバー・イヤリングセールを行うと発表した日付けと、全く同じだったからである。
タタソールズとゴフスは言ってみればライバル関係にある会社だが、ここまでの正面衝突は前代未聞だ。むしろせり会社同士は緊密に連絡を取り合い、セール開催日程が重複しないよう調整するのが、業界における暗黙の了解事項なのだ。そうでなければ、上場側も購買側も不便なことこの上ないし、上場馬も購買者も分散して商売の上でも得になることは何もないのである。
ゴフスの発表を受けたタタソールズ社は直ちに善後策を検討。「大いなる不快感」とともに、自社が主催するせり市場の日程再変更を発表した。
ホウトン・イヤリングセールとアイルランド・セプテンバーセールを従来の日程に戻し(アイルランド・セプテンバーが9月23日から25日、ホウトン・イヤリングが10月1日・2日)、オクトーバーセールPart1を従来ゴフスのオービー/チャレンジが行われていた10月第2週(10月7日から11日)に再移行することを決めたのである。
秋に欧州のイヤリングセールにお出かけを御予定のみなさんは、ぜひもう一度、日程のチェックをすることをお薦めしたい。
【2003年秋英愛せり市場日程】
ゴフス・オービー/チャレンジ
9月16日(火)~19日(金)
タタソールズ・アイルランド・セプテンバー
9月23日(火)~25日(木)
タタソールズ・ホウトン
10月1日(水)~2日(木)
タタソールズ・オクトーバーPart1
10月7日(火)~11日(土)
タタソールズ・オクトーバーPart2
10月15日(水)~18日(土)
合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。