2012年02月09日(木) 18:00
全国的にまだまだ寒い日が続いていますね。皆さん、寒さ対策は大丈夫ですか?
こちら栗東トレセンにももれなく寒波が到来。今朝はスタンド周辺でマイナス1度、坂路ではマイナス2度という寒さでした。とある助手さんいわく、「それでも、追い切りしているあいだは相当体を動かしているから汗をかくほどだから寒さは感じないんだ。でも、その前後がとにかく寒い。とくに追い切り後は汗がよけいに体を冷やすよ」
いやぁ、聞いているだけじゅうぶん体が冷えてきそうです。今朝は会う人、会う人、挨拶の言葉が「おはよう」ではなく「痛い」が合言葉になってました。「寒い」を通り越しての「痛い」。一度、ストーブに当たってしまったら、もうそこから離れたくなくなるほどでした…。
しかし。この天気は人にとってはツライのですが、馬にとっては逆に心地いいようです。吐く息は白いですが、馬たちはとても元気よさそうにハツラツとしていました。競馬サークルは、馬が居てこそ、馬があってこそ成り立つ社会。しばらく人にとってはつらい日々が続きますが、馬のためには今がいいのでしょうから我慢しなくちゃ、ですね。
さて、今週の共同通信杯ではクラシックの有力候補・ディープブリランテが登場します。3歳初戦にあえてこの共同通信杯を選んだ理由には、矢作師の実に細かい"逆算"がありました。
ディープブリランテ
ちなみに、矢作師とディープブリランテの出会いは2009年のセレクトセールとのこと。
「大井で調教師をしていた父と一緒に見ていて、最高にいい馬だと思った。ひとめ惚れでした。体全体のバランスはもちろん、顔がよかった。僕は当歳馬の顔をとても重要視しているんですよ。当歳馬の顔には性格、賢さなどすべてが出ると思っています。そういう意味では、ディープブリランテはある意味、僕の好みであり理想だった」(矢作師)
しかし、ツテのある馬主さんが落札することはできず、一度は縁が切れたと思った。ところが、落札者がノーザンファームだと知り、矢作師は即座に“動いた”。ノーザンファームの吉田勝己氏、吉田俊介氏に直訴しに行ったのだ。
「きっとクラブ所属の馬になるだろう、と予測したので『ぜひ僕に預けてください』とお願いに行きました。いまここで動くしかない、と思いました。普通に考えたら、あの場でそういう行動をとる人は少ないのはわかっていたけれど、少しでも自分の厩舎へ預けていただける可能性をつくりたかったんです」(矢作師)
その願いは叶い、ディープブリランテは矢作厩舎へ入る運びとなった。
「ディープ産駒なのでもう少し小柄に育つかと思ったけれど、400キロ台後半と想像より大きく育ちました。しかし、潜在能力の高さや競馬センスは今でも理想どおりに育っていますね」(矢作師)
目指すのは当然クラシック。いまはまだ前段階だが、ここまでの調整過程はすこぶる順調なようだ。ちなみに、父の矢作和人元調教師もひと口参加しているとのこと。そのくらい、惚れて惚れぬいた一頭ということなのでしょう。無事、春を迎えて欲しいものです。
ヴィルシーナ
「ゆったりした東京コースのほうがこの馬にはあっていると思います。左まわりにかわるのもいいですね」と安田助手。
ひじょうにゆっくりとカイバを食べていて、やや大人しい印象を受けますが「とてもマイペースなんです。決してカイバ食いがいいほうではないですが、誰もいなくなった厩舎でゆっくり食べているようなので大丈夫でしょう」(安田助手)とのこと。
広い東京コースで他馬にとらわれずに自分の競馬をしてくれたら、結果はついてくるでしょう。
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花岡貴子
デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)