ダーレー、社台、種牡馬展示会

2012年02月15日(水) 18:00

 今年もまた種牡馬展示会の季節が到来。2月13日(月)は、生産地のトップを切ってダーレー・スタリオンの展示会が開催された。

 ずっと例年を下回る厳しい寒さが続いていた北海道も、この日はほとんど平年並みまで気温が戻った。晴天にも恵まれ、午前10時の開場と同時に胆振(いぶり)や日高を中心に各地から多くの生産者や関係者が続々と集まり始めた。

 この展示会のために巨大テントを用意し、中で飲食サービスを提供するのもダーレーならではの光景だ。また、ゲストを招き、トークショーが行われるのも今やすっかりお馴染みである。

 午前10時半。展示会に先立ちテント内のステージ上で、合田直弘氏の司会により、赤見千尋さん、横山典弘騎手との対談が始まった。横山騎手はアドマイヤムーン産駒のレオアクティブとファインチョイスの距離適性の違いなどに言及しながら、終始和やかな表情であった。

横山典弘騎手がプロの目で各馬を診断 アドマイヤムーンは周知の通り、昨年初年度産駒がデビューし、重賞勝ち馬2頭を含め13頭が16勝、2憶5512万円を稼ぐ大活躍であった。トップの座はダイワメジャーに譲ったものの堂々の2位で、とりわけアーニングインデックスは、2.07(ファーストサイアーランキング)とひじょうに高い。

 トークショーが終わると、早速5頭の種牡馬の展示が開始された。
ザールがまず登場し、ストーミングホーム、パイロ、そしてディープスカイ、最後にアドマイヤムーンという順である。

 もちろん“大将格”はアドマイヤムーンで、今年の交配条件は「産駒誕生後30日以内支払い、400万円」となっている。総じて種付け料が下がってきている昨今、400万円は日高にいる種牡馬の中では最も高額だが、産駒成績が素晴らしいことから今年もすでにかなり多数の配合申込がある、とのこと。

アドマイヤムーンの人気は上々 展示終了後、来場者はテント内にて飲食サービスを受けながら談笑する姿が見られた。この日の来場者は700人。さすがに新種牡馬がいなかったので大混雑という印象はなかったものの、まずまずの動員数であろう。

 その翌日(14日)は、社台スタリオンの展示会が行われた。今年、社台スタリオンには一気に6頭の新種牡馬がお目見えとあって、早めの時間から多くの関係者が集まった。展示会は午前11時半開始だが、10時を回ったあたりから徐々に人が増え始め、11時にはピークに達した。

 この日は気温が高く、晴天にも恵まれて絶好のコンディション。ワークフォース(種付け料350万円)を始め、ヴィクトワールピサ(350万円)、カジノドライヴ(50万円)、ダノンシャンティ(150万円)、キャプテントゥーレ(50万円)、ドリームジャーニー(200万円)が新たに加わり、計27頭もの展示となった。

新種牡馬ドリームジャーニー 今さら、改めて触れるまでもなく、社台スタリオンのラインナップは質量ともに“圧倒的”である。他の種馬場ならば間違いなく主役級の種牡馬たちがズラリと並び、次々に登場しては展示されて行く。ため息の出るような陣容だ。

 最初に新種牡馬が紹介され、次に産駒デビューを迎えるメイショウサムソン、初産駒誕生のハービンジャー、キンシャサノキセキ、ヴァーミリアン、そして来年産駒デビュー予定のカンパニー、ヴィクトリーという順で次々に種牡馬が出てくる。

 ダイワメジャー、ディープインパクト、マンハッタンカフェなども元気のいい姿を披露し、締めくくりは昨年度のリーディングサイアーであるキングカメハメハであった。

キングカメハメハ、今年も産駒の活躍が期待される すでに27頭中、7頭に「満口」の表示があり、社台ブランドの高い人気が窺えた。昨年はほぼ4000頭の牝馬を集めた社台スタリオンだが、今年もまたかなり多くの交配頭数になることだろう。

 新種牡馬6頭と入れ替わるように、スペシャルウィークやダンスインザダーク、ホワイトマズルなどが日高に転出した。おそらく、これら「元・社台スタリオン繋養種牡馬」も含めると、日本で交配される約1万頭の繁殖牝馬のうち半数は社台系種牡馬によって占められるはず。

 ともあれ社台スタリオンは、死角の見当たらない鉄壁の大要塞である。

 なお、この日の来場者は900人とのこと。取材陣も多く、毎年のことながら、ここだけは“別世界”にも映る。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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