週刊サラブレッドレーシングポスト

2003年01月28日(火) 18:16 0

 アメリカの年度表彰エクリプス賞の授賞式が、1月27日(月曜日)にカリフォルニアのビヴァリーヒルズで行われ、2002年の全米年度代表馬に牝馬のアゼリが選出された。牝馬による年度代表馬は、86年のレディーズシークレット以来16年振り史上7頭目の快挙である。また管理するローラ・ド・サルー調教師は、年度代表馬を管理した最初の女性調教師となった。

 2002年におけるアゼリの戦績は、9戦8勝、2着1回。8勝のうち7勝が重賞で、うち5勝はG1という、ほぼ完璧なものだった。ただし9戦すべてが牝馬限定戦で、牡馬との対戦がなかったため、果たして年度代表馬に相応しいかどうかが、新聞雑誌でファンをも巻き込んだ論争となっていた。

 ところがフタを開けてみると、デイリー・レイシング・フォームのブロックが44票中37票、ライターズ協会のブロックが128票中107票、NTRAのブロックが53票中45票を獲得。総投票数225票中84%にあたる189票を集める圧倒的な支持を獲得。次点のウォーエンブレム(12票)を大きく引き離して、アゼリの年度代表馬が確定した。

 年度代表馬の最終候補が発表された際に起きたもう1つの論争が、昨年のアメリカにおける出走が1回のみで、しかも敗れている(BCマイル2着)ロックオブジブラルタルの名があったことだったが、ロックの獲得票数はレフトバンクと並ぶ3位タイの7票だった。

 ちなみに、古馬牝馬チャンピオンのカテゴリーにおけるアゼリは、満票の227票を獲得。2歳牝馬チャンピオンのストームフラッグフライング(227票中226票)、チャンピオン・スプリンターのオリエンテイト(227票中220票)らも、それぞれ圧倒的支持を得ての選出となった。

 一方、ブロックによってばらつきが出たのが古馬の牡馬部門。チャンピオンに選出されたのはレフトバンクだが、NTRAのブロックは18票対16票でヴォルポニーが首位だった。

 やや不思議な投票結果となったのが、芝の牡馬部門。年度代表馬の部門では1票も獲得しなかったハイチャパラルがここでは3ブロックとも首位でチャンピオンとなった一方、年度代表馬の部門で7票を獲得して第3位となったロックオブジブタルタルが、ここではハイチャパラルに大きく差をつけられる第3位だった。

 各部門の授賞者・授賞馬は、以下の通り。

・年度代表馬  アゼリ
・2歳牡馬    ヴィンディケーション
・2歳牝馬    ストームフラッグフライング
・3歳牡馬    ウォーエンブレム
・3歳牝馬    ファーダアミーガ
・古馬牡馬   レフトバンク
・古馬牝馬   アゼリ
・スプリンター オリエンテイト
・芝牡馬    ハイチャパラル
・芝牝馬    ゴールデンアップルズ
・障害     フラットトップ
・馬主     リチャード・イングランダー
・生産者    ジャドモント・ファームス
・騎手     ジェリー・ベイリー
・調教師    ロバート・フランケル
・見習い騎手  ライアン・フォーゲルソンガー

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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