2012年02月22日(水) 18:00
先週から今週にかけて、日高の主要な種馬場では種牡馬展示会が開催された。16日ブリーダーズスタリオン(日高町)、20日JBBA静内種馬場、アロースタッド、レックススタッド(新ひだか町)。21日ビッグレッドファーム、優駿スタリオン(新冠町)。そして今日22日のイーストスタッド(浦河町)で予定されている種牡馬展示会がすべて終了したことになる。
生産地地図がこのところ“西高東低”になってきているのは今さら言うまでもないことだが、種牡馬においても、その傾向が一段と強くなっている。4000頭もの交配頭数に達する社台スタリオンは別格にしても、日高の種牡馬もまた西から東に向かうにつれて、徐々に濃度が薄くなってゆく。
JBBA静内展示会
新冠町では36頭が1574頭と、新ひだか町では72頭が2082頭とそれぞれ交配した。それがここ浦河町の場合は、27頭で713頭となる。様似、えりも両町には今種牡馬が繋養されていない。
ちなみに社台スタリオンのある胆振管内は36頭の種牡馬が4006頭もの牝馬に交配した。十勝では7頭が30頭、青森県以南(九州まで)では34頭で200頭の交配頭数である。
ところで、5年前の2006年の数字と比較してみると、次のようなものになる。
日高町は56頭の種牡馬が1625頭に交配。新冠町では47頭の種牡馬が1859頭に、新ひだか町では69頭が2354頭に、浦河町では38頭が1059頭に、それぞれ交配している。
イーストスタッド(浦河町)展示会
そもそも、2006年と2011年とでは、交配した繁殖牝馬頭数そのものが異なっており、2006年には全国で1万1481頭だったのが2011年には10425頭まで減少しているため、各種馬場とも交配頭数の減るのが自然ではあるのだが。
もっとも、種牡馬数そのものもここ5年間でずいぶん減少した。全国で305頭、そのうち北海道では261頭、日高では211頭が2006年には繋養されていたのだが、昨年は全国で253頭、北海道で219頭、日高では176頭にまで減ってきており、この傾向はまだ当分続きそうな気配である。
人気種牡馬ほど多頭数の牝馬と交配する今の時代、新種牡馬が一定数以上の牝馬を集めるのは並大抵のことではない。本来ならば、GI馬のような活躍馬は、出身地に戻って種牡馬入りし、地元の生産者が支えて行く形が理想的だが、昨今はそれが難しくなりつつある。
ともあれ、まずは日高産馬が活躍すること。それもできることなら、日高で繋養されている種牡馬の産駒から活躍馬の輩出されることが望ましい。
日高が復活する日は来るのだろうか。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。