日経賞

2012年03月23日(金) 18:00

 すっかり週末の天気が怪しくなるパターンが定着してしまった。土曜午前中にかけての降水量は多くない予報だが、今期の芝はもともと生育状況一歩だったところへ、雨にたたられ通し。タフなコンディションは避けられない。

 断然人気でも、ルーラーシップ(父キングカメハメハ、母エアグルーヴ)の信頼性は高い。今春は、昨年遠征して凡走に終わったドバイを見送り、国内のGI制覇に展望を絞る形になった。3歳の春以降、GII〜GIIIに限れば【4-0-0-0】。ただ、GIレースになると【0-0-0-5】。しかし、昨年末の有馬記念2500mは、メンバー中最速の上がり3ハロン33秒2を記録し、勝ったオルフェーヴルから0秒2差。あと一歩でGIに手の届くところまできている。

 その有馬記念と同じ中山2500mで、斤量は別定57kg。重馬場では、前回のAJCCを楽勝し、出負けした金鯱賞も猛然と追い込んで勝って2戦2勝。ここまであまり連続して出走したことはないが、まだ休み明け3戦目。死角は少ないだろう。

 問題は、相手。こちらは馬場状態を考えると一長一短。4歳トーセンラー(父ディープインパクト)と、ウインバリアシオン(父ハーツクライ)は、ともにテン乗りの内田博幸騎手と、武豊騎手に乗り代わってきた。それにしても最近は乗り代わりが多い。3場開催という理由もあるが、土曜の阪神9レースなど、あと1頭で、16頭全馬が乗り代わりになるところだった。

 切れ味こそのトーセンラーにいまの馬場は合わない気もするが、細身に映った体つきは大幅にたくましくなっている。牡馬ではもっとも軽い55kg。そう降雨量は多くない予報だから、ここまでのイメージほど馬場は苦にしないと考えた。母方には欧州色が濃く、決してパワーは感じさせないものの、思われるほど渋馬場下手ではない気もする。これが相手の一番手。

 ウインバリアシオンは、ずっとコンビだった安藤勝己騎手から、武豊騎手に代わった。経緯は定かではないが、後方一気のレース運びに新味を加えようということか。トーセンラーより明らかにパワーはあり、不良の日本ダービー2着。ただ、この中間は必ずしも順調ではなく、仕上がり一歩の不安がある。相手の3〜4番手にとどめた。

 中山の芝で3勝しているヤングアットハート(父フレンチデピュティ)を相手の2番手とし、休み明けでセントライト記念を快勝しているフェイトフルウォー、今回は調教でも動いたベテラン=マイネルキッツを、ウインバリアシオンと互角の評価にしたい。

 スランプの続く牝馬に手を出すのはスジ悪だが、ここ2戦のレースぶりは決して悪くないサンテミリオン(重は巧者に近い)を、ぜひ相手に加えたい。4着だった2走前のAJCCよりは体調上向きと判断した。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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