2003年02月11日(火) 12:41 0
今季の2歳トレーニングセール・サーキットの幕開けを飾る『OBSコールダーセール』が、2月4日にフロリダのコールダー競馬場で開催された。
指標から御紹介すると、総売り上げが前年比2.4%ダウンの1273万ドル、平均価格が前年比4.9%ダウンの108,829ドル、中間価格が前年比16.7%ダウンの75,000ドルと、低調に終わった。
昨年夏からイヤリングマーケットが急降下。年明けのキーンランド・ジャニュアリーも大きく値を下げたところへ、アメリカはいよいよ本格的な戦争モードへ突入と、好材料の全く見当たらない中で行われたわりには、それほど大きな落ち込みではなかったとの見方も出来るが、一方で、中間価格の下落が平均価格の下落を大きく上回った点が気懸かりである。昨年夏以降のアメリカの市場は、トップエンドのマーケットが極端に冷え込んだのに対し、中間以下の価格帯における需要が多く、いわばマーケットを下支えしたかたちになっていたのだが、OBSコールダーセールでは市場におけるプレイヤーの数そのものが少なかったようで、中間層以下のマーケットが沈下してしまったのだ。非常に憂慮すべき状況であると言えよう。
唯一の明るい材料は、バイバック・レートが前年の34.8%から29.5%に下がったことだが、イヤリング・マーケットの下落によって上場馬の仕入れ価格が下がっていたことを考えれば、諸手を上げて喜べるほどの好転ではなかろうと思う。
最高価格は、上場番号201番の父モンブルックの牡馬。父はさほどファッショナブルな種牡馬ではなく、牝系にも目立った活躍馬がいないという地味な血統だが、1回目の公開調教で2F=22秒フラットを出した時の動きが素晴らしく、マイケル・テイバー氏の代理人デミ・オバーン氏が、120万ドルで購買した。この価格は、OBSコールダーセールでの歴代最高価格である。
血統がよく仕入れ価格が高かった馬でも、公開調教で時計が出ないと高値は付かず、一方で、血統が貧弱でも公開調教で時計を出した馬は高く売れるという『時計重視』の傾向は、益々強まっているようだ。
そんな中、日本人によると見られる購買馬は1頭のみ。1回目の公開調教で1F=10.4秒を出した父ワイルドラッシュの牡馬が、17万ドルで購買されているだけであった。
合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。