福島牝馬S

2012年04月20日(金) 18:00

 また今週も降雨を気にしなければならないが、みちのく福島は週末の天気の崩れはなさそうである。今週から内ラチを2mだけ移動したBコースになるが、先週もとくに内側の芝が荒れていた印象はなく、500万条件の芝1200mで1分08秒6、1分08秒9。3歳未勝利で1分08秒5が記録されたから、芝状態に問題はない。ここは、1分46秒台後半か、少しかかっても1分47秒前後の速い時計が記録されるだろう。

 ◎は、人気でもオールザットジャズ(父タニノギムレット)。「牝馬は格より調子」の金言があるが、どの角度からみても総合力は一枚上の実績上位馬がいない今年、賞金別定でもっとも重い馬でも55kg。格にとらわれる必要はない。

 オールザットジャズの強調点は、昨年後半から5戦3勝の急激な上昇馬であること。目下のデキもいい。500万条件を勝った直後に挑戦したG1エリザベス女王杯こそさすがに苦戦したが、それを別にすると、デビュー以来ここまで芝1800〜2200mは[4-3-0-0]。

 少し相手が強化した程度では1度も崩れていないこと。事実、オープンクラスへの格上がりになった前回の中山牝馬S、猛然と2着に突っ込んできた。渋馬場の中、レディアルバローザが逃げ切り、上位を先行タイプが占める流れだったが、3コーナー最後方の位置からただ1頭だけ上がり35秒台で伸びたのがこの馬(正確には35秒3。レース上がりは36秒3)。とくに坂をあがったゴール寸前、猛然と伸びた。

 タニノギムレット産駒は、抜けた代表馬のウオッカを別にすると、スマイルジャック、セイクリッドバレー、ゴールドアグリなど、平坦重賞の勝ち馬が多い(福島には厳密には坂はあるが、ほぼ平坦に近い)。これはブライアンズタイム系の特徴のひとつであり、祖母の父はシーバード。また、グロースターク(その父リボー)のクロス3×4をもつタニノギムレットの場合はとくに、抜群の平坦適性を前面に出す馬がいて不思議ない。オールザットジャズは新潟[1-2-0-0]である。また、サンデーサイレンス牝馬にタニノギムレットの配合形は、関屋記念のスマイルジャックや、同形ともいえる新潟大賞典のセイクリッドバレー(母の父フジキセキ)と同じである。平坦適性は、だいたい小回りコースへの適性と同義に近い部分が多い。初コースは中山をこなしたくらいだからまず心配ない。スローもありえない。

 今年もまた調子を上げてきた昨年(新潟)の2着馬コスモネモシンは、新潟より直線の短い福島のほうがずっといいだろう。これと、オールザットジャズと同じタニノギムレット産駒で、母の父サンデーサイレンスまでまったく同じビッグスマイル(ローズS0秒1差)の2頭が強敵。マイネイサベル、アスカトップレディ、武豊騎手が原発事故の影響に苦しむ東北の復興に少しでも役立ちたいと強く希望して遠征騎乗するアカンサス、デキ一歩の気もするがこの相手なら…のアニメイトバイオを相手に加えたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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