雨に祟られた連休後半

2012年05月09日(水) 18:00

 5月3日(木)から始まった大型連休後半は、初日から雨に見舞われるスタートとなった。

 3日から降り始めた雨は一夜明けた4日も止まず、ほぼ終日降り続いて、かなりの雨量を記録した。今もなお札幌市と洞爺湖など道南方面を結ぶ国道230号線の中山峠では土砂崩れが発生して、通行止めのままとなっている。日高でも5月としてはかつてないほどの雨量となり、連休の人出を見込んだ観光地はどこも痛手だったはずだ。

 天候が回復したのは6日(日)になってからで、この頃にようやく静内の二十間道路や浦河の西舎にある桜並木が見頃を迎えた。ちょうど今が満開くらいであろうか。

 例年よりも寒かった今年の冬は、春の訪れも遅く、桜の開花が遅くなるのではと予想されていたが、4月後半になってからは連日平年以上の高気温が続いて、それにより一気に開花が進んだ。余談ながら、旭川市では、開花宣言と満開日とが同日に発表されるほどの異例の出来事も起こった。

 旭川の桜の開花日は5月2日。旭川気象台の職員が標準木のエゾヤマザクラの開花を午前中に確認し、午後になってからもう一度見回りに行くと何と同じ木が「満開」になっていた、というのである。

 これは1953年に観測を開始して以来、全国初のケースらしい。確かに、そんな話はこれまで聞いたことがない。とはいえ、そこまで極端ではなくても、日高でもいつの間にか各所で桜が一気に開花し、咲き乱れているような印象がある。因みに静内の桜まつりは先週の土日、そして浦河は今週末の土日に開催予定である。静内はほぼドンピシャリの日程を組めたが、浦河はこのところの暖気によって週末には散ってしまっているのではなかろうか。

 さて、雨に祟られた連休後半。通常の水木開催から木金(3日、4日)に開催日をずらした道営ホッカイドウ競馬も、運悪く雨に降られてしまった。

 4日には「第2回コスモバルク記念」が組まれており、3日と4日の両日、ビッグレッドファームからコスモバルクが門別競馬場に来場してファンにお披露目されたが、あいにくの悪天候のために、早々に切り上げざるを得なかったらしい。東日本大震災で被害を受けた東北地方への支援を目的に、河村清明氏(コラムニスト)とビッグレッドファームの全面協力を得て実施された海外競馬関連キャップの販売(3000円)による特典として、バルクとの記念写真撮影も行われたものの、やはり雨に打たれる中では苦労も多かったはずだ。この日、午後2時に競馬場入りしたが、すでに終了した後であった。

 雨は第1レース発走時から最終11レース直前まで、降りっぱなしであった。馬場は完全な不良馬場と化し、水の浮いた状態となっていた。

 本来ならば連休の真っただ中であり、多くの家族連れなどで賑わったはずだが、この天候ではさすがに競馬場行きを見合わせたファンも多かったものと思われる。
 ようやく雨は午後8時を回ったくらいに小降りになってきて、それでもメインのコスモバルク記念の発走時にはようやく止んでくれた。

 今年2回目を迎えるこのレースには12頭が顔を揃え、冬期間に南関東へ遠征していた昨年の道営記念優勝馬ショウリダバンザイが1番人気。続いて道営記念2着馬のリフレックスが2番人気に支持された。

 レースはプリティゴールドが引っ張り、クラキンコが追う展開で、4コーナーを回ってからプロフェッショナルが抜け出してそのまま決まるかと思われたが、ゴール前は外側からショウリダバンザイ、そして更に大外からジョーモルデューが突っ込んできて、4頭が横に並んだところでゴールイン。勝ったのはジョーモルデューであった。1/2馬身差でショウリダバンザイが2着。

ジョーモルデュー

ジョーモルデュー

 ジョーモルデューは父クロフネ、母ジョーセクレタリー(母父トニービン)の牡8歳。中央からの転厩馬で、これが道営初出走であった。田中淳司厩舎所属。服部茂史騎手騎乗。馬主は山口裕介氏。なお、このレースにはJBC協会からコンデュイット号の配合権利が副賞として馬主に贈られた。またサッポロビールからも記念品が授与された。

コスモバルク記念口取り

コスモバルク記念口取り

 それにしても、門別競馬場はスタンドが狭く、椅子の数も限られていて、こういう荒れた天候になると、ファンは居場所がなくなってくる。自然現象だからどうしようもないことなのだが、もともと外での観戦に適した造りになっており、雨さえ降っていなければバーベキューなども十分楽しみながら競馬を見られるのだが、その意味では今年の連休開催に関してはいささか運がなかった気がする。

 なお道営ホッカイドウ競馬は今週からまた通常の水木開催に戻る。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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