デインドリーム快勝、凱旋門賞オッズの行方は

2012年05月23日(水) 12:00

 今季も現役に留まった、昨年のサラブレッドランキング世界第3位のデインドリーム(牝4、父ロミタス)が、5月20日にバーデンバーデン競馬場で行われたG2バディッシェン・ウンテルニーマー大賞(バーデン企業大賞、芝2200m)で、今季初出走。貫禄のパフォーマンスで、2012年シーズンのスタートを白星で飾った。

 昨年後半、G1ベルリン大賞、G1バーデン大賞、G1凱旋門賞と、古馬の牡馬を撃破して2400m路線のG1を3連勝。レイティング128を獲得し、フランケル、ブラックキャヴィアに続いて、シリュスデゼーグルと横並びで世界第3位に評価されたデインドリーム。凱旋門賞後に来日し、ジャパンCに出走したものの、さすがに長いキャンペーンを戦ってきた疲労があったか、6着に敗退。ここはそれ以来、半年振りの出走だった。

 レースは、ノルウェイからの遠征馬サーランド(牡5、父ランド)、チェコからの遠征馬ローチェスクロス(牡4、父ウィッパー)を含めた10頭立てとなり、デインドリームがオッズ1.4倍の1番人気に。昨年夏、デンマークに遠征して制したG3スカンジナヴィアンオープンCS(芝2400m)を含めて重賞2勝のオヴァンボクイーン(牝5、父カラトス)が8.2倍の2番人気。

 昨秋にバーデンバーデンで行われたG3ヴルテンベルグ・トロフィー(芝2400m)を含めて重賞2勝のシルヴァーナー(牡4、父ロミタス)が8.5倍の3番人気。一昨年のG1独ダービー(芝2400m)3着馬で、ホッペガルテンのG3ドイツ統一賞(芝2000m)を2連覇しているラシアンタンゴ(牡5、父テルチュリアン)が10.5倍の4番人気に推された。

 レースを引っ張ったのは、マイティマウス(セン4、父キングズベスト)で、デインドリームは好位の3〜4番手で折り合う競馬に。直線に向くと、馬場の真ん中に進路をとったデインドリームが早めに抜け出して先頭へ。残り1Fを切って、道中は中団で競馬をしていたシルヴァーナーと、後方で脚を溜めていたオヴァンボクイーンが、馬場の外を通って追いこんでくるも、デインドリームは余裕で両馬の追撃を退けて優勝を飾った。

 管理するピーター・シールゲン調教師によると、この日のデインドリームは「走れる状態にはあったが、ピークを100とすればまだ80の出来」だったとのこと。大目標は言うまでも無く、秋の凱旋門賞連覇にあり、ここはあくまでも長いシーズンのスタートであることを強く意識した仕上げだったようだ。

 次走に関してシールゲン師は、馬の状態を見ながら馬主と相談するとしながらも、6月24日にフランスのサンクルーで行われるG1サンクルー大賞(芝2400m)か、7月21日にアスコットで行われるG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝12F)になるであろうと示唆している。

 前述したように、大目標は凱旋門賞においているデインドリーム。大手ブックメーカーはすでに前売りを開始しており、デインドリームは現状、オッズ11〜13倍の2〜3番人気という評価となっている。

 各社5倍のオッズを掲げて横並びの1番人気に推しているのが、5月5日にニューマーケットで行われたG1英2000ギニー(芝8F)を制して、デビューから3連勝を飾ったキャメロット(牡3、父モンジュー)だ。

 次走は6月2日のG1英ダービー(芝12F)が予定されているが、ここでのブックメーカーは同馬に軒並み2倍以下のオッズを提示し、「ダービーは勝ったも同然」の評価。ここを無事に通過し、1970年のニジンスキー以来42年振りとなる三冠に挑む期待がかけられている超大物3歳馬である。

 3冠に挑むのであれば、セントレジャーから凱旋門賞というローテーションは厳しく、それゆえ現状は「5倍」というオッズになっているが、仮にこの馬が英ダービーを制して秋は凱旋門賞1本に照準を絞ることになれば、ここでのオッズも2倍を切ることになるはずだ。

 各社13倍のオッズを掲げて2〜3番人気に推しているのが、5月13日にロンシャンで行われたG1仏1000ギニーを制した英国産ディープインパクト産駒のビューティーパーラー(牝3)である。

 キャメロット同様、デビュー以来無傷の成績でクラシック第一関門を通過した同馬。手綱をとるクリストフ・スミヨン騎手が、かつてのお手馬で、G1凱旋門賞を含めて7戦7勝の成績を残した名牝ザルカヴァを引き合いに出し、「ビューティーパーラーはザルカヴァ級」と公言して憚らない逸材である。

 次走に予定されているG1仏オークス(芝2100m)も無事通過し、一部で疑問視する声も上がっている距離2400mへの適性に問題がないことがわかれば、この馬のオッズも間違いなく一ケタ台の前半になるはずだ。

 これに続く、オッズ13〜15倍の2〜4番人気が、日本のオルフェーヴル(牡4、父ステイゴールド)である。また、G1クイーンエリザベス2世C(芝2000m)快勝のルーラーシップ(牡5、父キングカメハメハ)も、オッズ15〜21倍で4〜6番人気に評価されている。

 この路線では今後、5月27日にアイルランドのカラでG1タタソールズGC(芝10F110y)。6月1日にはイギリスのエプソムでG1英オークス(芝12F10y)。6月2日には同じくエプソムでG1コロネーションC(芝12F10y)とG1英ダービー(芝12F10y)。6月3日にはフランスのシャンティでG1仏ダービー(芝2100m)と、重要なレースが立て続けに組まれている。各レースの行方と前売りオッズの変動に、ぜひご注目いただきたい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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