テレビユー福島賞

2012年06月29日(金) 18:00

 今週から始まる「夏の中京競馬」にも興味は大きいが、(一応)良馬場発表だったGI高松宮記念1200mは、従来の中京の芝より2.0〜3.0秒もタイムを要する1分10秒3だった。さらに、春の芝のレース45戦、一度もレース上がり33〜34秒台はなかった。コース改修で直線に向いてすぐ急坂(約150mで2m登る)ができただけでなく、当時は雨もようの天気が多かったこともあり、洋芝中心のソフトでかつタフな芝コンディションが原因だった。その芝が、夏の野芝の上にオーバーシードになってどう変化するのか。地盤も多少は変化するだろう。日曜のCBC賞と同じ1200mは土曜にはなく、9Rの1400m、10Rの1600mを手がかりに推測するしかない。中京のレースは、ダートも含め、とくに土曜日は「馬場確認」がテーマ。参加はジャブにとどめたい。

 福島の芝コースは今週から内ラチを2mだけ移動したBコース。2mではさして変化はないと思えるが、先週の後半から有利ではなくなっていた内枠の先行タイプは、少し芝が傷みかけていた部分を通らなくてもいい。不利はなくなった。

 急上昇、評価一変の◎4歳ミトラ(父シンボリクリスエス)から入りたい。前回は2歳時の新馬1800m(のど鳴りもあって、大差しんがり)以来の芝のレース。評価は分かれたが、1400m1分19秒6のコースレコードだった。それも格上がりで強敵相手の一戦を3馬身差の独走。一度3番手に下げてから抜け出した後半3ハロンは33秒2だから驚く。

 たしかにすんなりした流れで、馬場はオークス当日の超高速馬場。多少は割り引く必要はあるが、同じ東京のBコースだった一週前の「京王杯SC」1400mが、前半800m通過45秒9のちょっとゆったりペースで、サダムパテックの勝ち時計は1分20秒1(同馬の上がりは33秒3)。ミトラのレースも前半800m通過はまったく同じ45秒9で、同馬は上がり33秒2を記録し1分19秒6のコースレコード。ミトラが独走に入りかけた1200m通過地点は1分08秒1だった。

 GII快勝のサダムパテックが「46秒8-33秒3」=1分20秒1。高速の芝に変化したとはいえ、ミトラの内容は「46秒4-33秒2」=1分19秒6。慣れない芝を考慮するとき絶大な価値を認めたい。父母両系の血統背景から考え、平坦に近いコースに変わるのも大歓迎。死角は前半のダッシュがちがう1200mで、外から次々にかぶされる展開もありえることだが、幸い快速型は外枠に多く、近くには猛ダッシュ型はいない。前回も一度、飛ばしたい馬を先に行かせて3番手に下げた。3〜4番手でもOKだろう。ダート1200mはあまりダッシュは良くなかったのに[3-0-0-0]である。

 相手はそれこそ一長一短。取捨に迷うが、魅力は平坦適性十分の血統背景をそなえるトウショウフォアゴ(父キングヘイロー。母方は快速ディクタット、ドゥマーニの一族)。上がり33秒台の切れがあり、持ち時計1分08秒5も合格。

 ダンスファンタジアは、前回の春の福島で1200m1分07秒7。当時は内枠で出負けしていたから、もまれたくない牝馬に今回の15番枠は絶好だろう。ボストンエンペラー、ジュエルオブナイル、ティファニーケイス、穴馬グローリールピナスも押さえたい。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

新着コラム

コラムを探す