待つ心を養いたい

2012年07月05日(木) 12:00

 時期が来なければ事は成就しない。その時を待つ、これは情況によっては辛い。何かに紛れていないことにはたまらない。しかし、駄目なものは駄目、どうもがいても仕方がないから、やっぱり待つしかないと悟るのだ。

 デビューが遅く、しかもキャリアの浅い馬には、その周辺の事情をなるべく理解するようにつとめているが、時を待つには、ただ何もしないでは意味がない。その間、努力を積み重ね、それによって力をたくわえているのだから、それまでとは異なる効果を期待してもいるのだ。競馬で走るその中には、ある試練を乗り越えたという事実があるから、それが成果となっても当然と言える。

 日々のレースにそういう発見があるから、競馬への興味はつきないのだと思う。これは日々の生活にも置き換えられる。

 わるい時がすぎれば、よい時はやってくる。事を成す人が、どういう生きる姿勢でいるかを見てみると、あわてずさわがず、静かに時が来るのを待っているではないか。そしてつけ加えれば、時が来て事を成就させる為の何かをやり続けているのだ。そこを見逃してはならない。時の来るのを信じて、着々と力をたくわえておく。それをする人には、時は必ず来る、だから、待つ心を養いたい。

 この時期の重要レースには、そういう時を待っていたキャリアの浅い馬がよく登場してくる。ラジオNIKKEI賞を勝ったファイナルフォームのその一頭だ。

 デビューが今年に入ってからの3月17日、4戦目の前走で2勝目を上げてここに登場していた。古馬を相手に成果を上げていたので2番人気に初重賞制覇につながったが、まだまだレースでは若さを見せている。慎重に秋の目標を見つけていくことになるが、その時を迎える努力は、これからも続いていく。

 待てといわれればなおあせるのが人情だが、そこはおたがい時を待つ心を養って、自然の理にならって生きる努力をしてみよう。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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