2012年07月12日(木) 12:00
見方を変えてみる、これが悪ければ別の方法をと。ひとつことに執着しすぎて無理を重ねていたのでは埒(らち)が明かない。自在に道を変える試み、これが出来たらいいのだが。とにかく、新しい道をひらくにはどうしたらいいか、よくぶつかる壁だ。
何ごともゆきづまれば、まず自分のものの見方を変えることから始める。よく言い聞かせているのだが、無意識の中にも他の見方のあることを忘れてしまっていることが多い。
自在にものの見方を変えるには、心のゆとり、心の広さがなければならない。辛い顔をしてみせる前に、ちょっと深呼吸でもしたり街の風景に目を移してみたりと、やってみることがあるのではないか。
こでが出来るようになれば、ゆきづまりはない。いい道がひらけるのではないか。模索するとはこういうことではないか。
身近な競馬にも、この姿をよく見る。いくら走らせてもいい結果に結びつかない。どう調教を積んでも結果は同じ。それでも、重賞戦線に名を連ねるここまでと変わらず日々なのにと。多くは、これを実力の壁とかたずけてしまうのではないか。
七夕賞を14番人気で勝ったアスカクリチャンに、見方を変えて成功した例を見た。それまでの5勝は全て1600m。4角の位置取りよりも着順を下げたことがないという、終いの確実な脚がこの馬の武器と言ってもよかった。オープン入りしてからも、当然マイル戦がこの馬の戦う土俵。京都金杯、東京新聞杯と果敢に攻めたのだが、いずれも大敗に。
追走に四苦八苦している様子に、連戦の疲れを放牧で取ってからの目標を中距離路線へと転換。二千メートルの七夕賞では、6番手と折り合って追走でき、持ち味の末脚を持続させられたのだった。自在に見方を変えてみる、悪ければ別の方法を試みてみる。多くがこのアスカクリチャンの戦いの変化に気づかなかったというのがあの低人気にあらわれていた。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。