勝負への姿勢

2012年07月19日(木) 12:00

 勝負は、ただ勝てばそれでいいということではない。相撲にすまいぶりがあるように、その勝ち方も大きな問題だ。その勝ち方が堂々たるものでなければ、人は失望するし人気も下がる。また同時に、その負け方にも注文がある。内容がどうであったか、それも問題にされる。勝負だから勝たなければならないが、それだけではないということ。

 これとまったく同じことが、日々の仕事にも言えるとは思えないか。ただ成果をあげさえすればいいではなく、他に迷惑をかけず、しかも社会のささやかなりとも役に立つということ、それを実感したいではないか。難しいことだが、みんなともどもに懸命にやって、それによって出来れば成功したい。だが、大事なことを忘れてはならない。いかなる場合も、その内容がどうであるかが優先されるということ。結果は、あくまでもそれに付随するものということを。

 競走馬として門出を迎えている2歳馬たちの一戦一戦には、特別な人の思いが渦巻いている。あるものはとてつもない期待を担って、またあるものはささやかな淡い願いに励まされ、そしてあるものはこのステージに立てた喜びにつつまれと、その置かれた立場は様々でも、いったんスタートしたらひたすらに走り続けている。勝つためにだ。

 それにはどう走ったらいいのか、どれもこれも手探りでしかない。ここでも大切なのは、未熟なりでもどう前向きに戦っているかだ。力が入りすぎてスムーズさを欠いても、一生懸命であれば人の心をつかむ。たとえ勝てなくともだ。

 競馬でもここのところは、ツボと言ってもいい。やがては堂々と戦う強者になって人気を集める成功者の道が見えてくる。みんなそれを夢見ている。

 世代最初のステークスウイナーになった牝馬のストークアンドレイ。パワフルな走法と勝負強さが印象に残った。正々堂々のすまいぶりに、その存在を十分に示していた。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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