関越ステークス

2012年07月27日(金) 18:00

 夏の番組には、ダート中距離タイプのオープンのレースは少ない。北海道シリーズは別に、9月に入るまで新潟では3歳以上のダート1800mはこのレースだけ。小倉でも今年は12日間開催で、8月12日の「阿蘇ステークス」ダート1700mのみ。

 だから、もう少しメンバーも頭数も揃うかと思えたが、ここは12頭立て。うち1600万条件に該当する馬が4頭もいる。トップハンデ56kgを課せられたのが、5歳トウショウフリークと、ここが初ダートになる7歳馬ホッカイカンティ。勝算ありとみてここにマトを絞った感のある有力馬は少ない。きわめて手薄な組み合わせとなった。

 揃わなかったのは、2歳馬も入れたい。なんとかしたい3歳未勝利馬もかかえている。夏の限られたダート戦に向け、体調を整えて巧みに管理馬の入れ替えができればいいが、そうはスムーズにはいかない背景もあるということだろう。

 断然人気になるのは仕方がない。トウショウフリーク(父キングカメハメハ)中心。5連勝(うちダート1800m4勝)でオープン入りしたあと、いきなりエスポワールシチー、トランセンドと対戦ではきつかった。この馬、スイープトウショウ(宝塚記念など8勝)の下とあって、芝に戻ったりしたがちょっと詰めが甘く、再びダート戦に戻ってきた。前回はローマンレジェンド(ダート7戦6勝)につぶされたものの、3着以下には8馬身差。今回も対戦するタマモクリエイトには約10馬身もの差をつけている。

 ここはいかにも相手有利。また、強引に競りこんでくるような同型馬もいない。マイペースの展開から、自分でピッチを上げてスパート可能だろう。

 母方に配されてきた種牡馬は、ダンシングブレーヴ、トウショウボーイ、ダンディルート、チャイナロック、ダイハード……、その前がなんとセントライト。そう大きく発展している牝系ではないが、スイープトウショウ、サマンサトウショウ、ドウカンヤシマが代表馬になる個性的なファミリーであり、少なくとも早熟とかの形容とは無縁。まだまだ渋いダート巧者として着実にパワーアップしてくれるだろう。

 強敵は、急激な良化を示すコンノート(父は同じキングカメハメハ)。前回、初の新潟で落鉄しながら勝負強さを発揮してみせた。ダイナマイン、同シュート、同フェアリーが代表するファンシミン一族。典型的な夏の平坦血統である。

 休み明けをひとたたきしたアドバンスウェイ(父ネオユニヴァース)は、もともとはこういう距離向きで、新潟ダート1800mには1分49秒5(1000万逃げ切り)がある。トウショウフリークと競るとは思えず、先行してしぶとく粘り込みそうである。

 以下、54kgで江田照騎手を配してきたタマモクリエイト、ダノンエリモトップ、ナニハトモアレ。あまり強気に行かず、差してくる人気薄のグループが3着候補か。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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