長岡ステークス

2012年08月10日(金) 18:00

 新潟内回り1400mの高額条件のレースは少ない。レースのモデルパターンを求めるのは難しいが、比較的似たような形態に映る東京1400mと比べると、まったく平坦の向こう正面の長い直線が東京よりずっと長く、約800mも続くところが大きく異なる。さらに、角度のきつい3コーナー、4コーナーを回ると、最後の直線もまったくの平坦で約360mだけ。東京は約530m。

 東京コースの芝1400mは、最近、前半600mが35秒前後、800m通過47秒前後のスローペースで展開し、後半600mが高速の「34秒前後」の切れ味勝負になるケースが多いことで知られる。

 しかし、新潟の場合は、前半600mは東京より約1秒は速い34秒前後が一般的で、800m通過も46秒前後。東京コースのようなスローペースは下級条件でもめったになく、平坦の直線だが、上がり3ハロンは「35秒前後」になるレースが多い。

 レース数が少ないのであくまで1000万、1600万級の目安だが、東京1400mと勝ちタイムはだいたい同じでも、前半が約1秒速く流れ、後半が約1秒かかるのがレースのおおよそのイメージ。

 では、そういう流れなら、東京のほうが先行タイプ向きで、新潟のほうが差し馬も届くケースが多いか、というと、そこは平坦小回り、日本で1番狭いコースが新潟の最大特徴。流れなど少々きびしくても(こと勝ち馬に限ると)、新潟コースのほうがずっと、先行タイプの押し切り勝ちが多い。2〜3着は、メンバーにもよるが、差しタイプが突っ込むケースが比較的多い。

 あまりヒントにもならないが、中心になるのはペースに関係なく、先行のスピード型。

 前回、自身のラップ「前半34秒5−45秒8」−「後半34秒5」=1分20秒3で抜け出した3歳トウケイヘイロー(父ゴールドヘイロー)が能力基準に近い馬と思える。

 期待は、同じような先行抜け出し型の「ミトラ(父シンボリクリスエス)◎」とする。

 前回は快速タイプの揃った福島の1200m。必ずしも快速スプリンターとはいえないミトラは最内1番枠。押して好位のインにおさまったものの、詰まってスムーズさを欠き、最後の追い比べで「半馬身、ハナ」差の3着。あとワンパンチ欠けたというより、芝1200m向きのスプリンターではないからだろう。1400mの2走前は、「前半46秒4-上がり33秒2-11秒5」=1分19秒6。東京のコースレコードで楽に抜け出しているように、1400mのほうがずっと合っている。

 マイネルカリバーン、ユキノハリケーンなどの逃げ候補はそう猛ペースでは行かないと思えるので、2走前と同じようなラップバランスを踏める可能性が高い。松岡騎手も前々回のイメージで乗れるだろう。蛇足ながら、セン馬は、夏は牡馬よりも平気とされる。

 相手は強化したが、やっと本来のスピードを取り戻した前出トウケイヘイローと、同じく先行抜け出しをねらうエーシンハーバーが相手本線。以下、ダンスファンタジア、イチオクノホシ、ユキノハリケーン、ニシノステディーに流したい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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