2012年09月13日(木) 12:00
運がついているとき、運に見放されているとき、何事につけても気になるのが運。ふと頭をよぎるのは、幸運に恵まれたいだ。だから旨い話にひっかかる。旨い話は二度考えよという戒めがあるではないか。
しかし、ときには降って湧いたような幸運に出会ったこともあった。“開いた口へ牡丹餅(ぼたもち)”“濡れ手に粟”これはたまらない。だから、一度あったことは二度、二度あったことは三度と心待ちするのが人情でもある。仕方がないというところか。
だが、これをレース検討に応用すると、たまには面白いことに遭遇するからたまらない。もっとも見つけるには、それなりの運も手伝ってくれるのだが。
セントウルSの今年の勝ち馬は、伏兵のエピセアロームだった。この3歳牝馬の前走が北九州記念の3着で、力をみせていた。阪神の開幕週は高速馬場だし、そのスプリント戦は一瞬のスピードがものを言う。最近特に牝馬が勝ってきたのも、斤量の有利さも手伝って頷けるではないか。ただそれだけではない。
去年のこのレースの勝ち馬エーシンヴァーゴウも、その前走が北九州記念3着だった。しかも、牝馬だ。エピセアロームや騎乗する武豊に運がついていれば、絶対にこの馬だと思ってもいい。そして、この点に思いが及んだのは、こちらの幸運だったのかもしれない。一度あったことは二度あるかもしれないという淡い期待。分かりやすいから、すぐとびつく。競馬だから、そうやってもいいのだ。“開いた口へ牡丹餅”、エピセアロームにセントウルSで出会った者はこんな気持ちになったことだろう。
何事につけても気になるのが運なら、その運を引き寄せる方向に進んでいきたい。レース検討の中で、いくつかの運を引き寄せる術を身につけておきたいものだ。さあ、できるかどうか。だが、“いつも柳の下にどじょうは居らぬ”も真実だから油断はできない。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
長岡一也「競馬白書」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。