大舞台での成功を念ずる心

2012年09月20日(木) 12:00

 詩人の坂村真民さんの真言が、いつも頭の中にある。「念ずれば花ひらく」、この8字10音の言葉には、とても大きな力がある。なにかをかなえたいと念ずる、そこには純粋な思いがあるが、それがひたすらであるから心を打つ。坂村さんには、もうひとつ強い思いがある。「二度とない人生だから」と、この言葉にも人を支える力がある。心が萎えそうになったら、この二つの言葉を唱えてみるのだ。前に進む力になってくれる。そこで今回は、こんなことを考えてみた。

 事を成すとはどういうことか。切羽詰まって、それが蛮勇を生むこともあるが、それは少し当てずっぽうすぎる。やはり、ひたすら願うという姿勢があってほしい。そしてもうひとつ。チャンスは二度とないのだという強い思いもあってほしい。ひとつ大きなことを成し遂げる過程には、何かしら人の心を打つものがある。これは、何事においてもだ。この秋、大きな目標に向かっている人馬にだって、それはある。

 見る側の心をつかむのは、事に向かって進むだけではなく、そこにある「念ずる心」であり、「ひたすらという思い」であるはずだ。それを知るからこそ、そのことが成就する瞬間を心待ちするのだと思う。

 ジェンティルドンナと岩田騎手、三冠に死角なしと言い過ぎてはいけない。もし願うのであれば、「ひたすら念ずる」姿勢が大切だ。それが、心から応援するもののあり様だと思う。三冠は二度と訪れない、これは自明の理。生涯に一度のチャンスを目の前に、どう導いていくか、人間の努力は続く。そこには、ひたすら念ずる心があり、どう馬を支えていくか、祈る人の思いがある。ちょっとした言葉の端々に、その心を感じ取ることでこの心情は動かされるのだ。

 だから、競馬では何を語るか、何を語られるかが大きい。また、伝える者の心構えとして、こうしたことを重く考えねばならない。「念ずれば花ひらく」、ジェンティルドンナにどう伝わるか。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

新着コラム

コラムを探す