昨年より順調、厩舎初GIを狙うパドトロワ

2012年09月20日(木) 18:00

ウインバリアシオン

ウインバリアシオン

 まずは残念なお知らせから。このコラムに何度もご登場いただいたウインバリアシオンが戦線離脱です。病名は左前浅屈腱炎。エコー検査の結果、損傷率は15%という診断が下されています。この15%というのがどのくらいの症状なのかというと…客観的にはこれは何とも言えない数字。もちろん、この数字でも復帰した馬はいます。

 一方でウインバリアシオン自身が500キロを超える大型馬であることを考えると、体が重い分、脚元への負担も大きいわけです。診断は全治9か月。屈腱炎はかつては不治の病と言われた難病ですが、最近は手術などで回復しているケースも結構あります。

 20日、ノーザンファームしがらきへ放牧に出る直前、顔を見にいってきました。相変わらずひじょうに穏やかな表情。もう一度、ここに戻ってくれることを願うしかありません。

マジェスティハーツ

マジェスティハーツ

 さて、ウインバリアシオンの調教パートナーだった中山助手が「ウインバリアシオンのデビュー前と同じような手ごたえを感じる」というのが、今週デビューするマジェスティハーツ。父はハーツクライ、母はエアラホーヤ。

 ウインバリアシオンのデビュー前後から「これは走る」「ダービーを狙える」と話してくれた中山助手ですが、マジェスティハーツについても「このまま順調に成長してくれれば、ウインバリアシオンと同じようにクラシックを意識できるんじゃないかな」と話していました。

 実は、昨年はどの馬についてもこの言葉が出てこなかったんですよ! だから2年ぶりに中山助手からデビュー前の馬に対して「ダービー」「クラシック」という言葉が聞けて実に嬉しい!

「ウインバリアシオンはいかにもステイヤーというタイプだったけれど、こちらはスピードがあって距離が持ちそうだね。ただし、完成度はデビュー前のウインバリアシオンよりこちらのほうが上だよ」(中山助手)

 先週の坂路での追い切りも、一杯に追うことなく54.2-12.7秒の時計を出していますよ。

「はじめての追い切りで先週未勝利勝ちしたメイショウガンツがついていくのに精一杯という動きを見せたからね。いまで490キロ。少し余裕のある体つきだから、近い将来、480キロくらいで出走できれば」(中山助手)

 デビュー戦は23日の芝1600m。ジョッキーは武豊騎手です。

パドトロワ、引き続き好調

パドトロワ、引き続き好調

 来週はスプリンターズS。サマーシリーズを制したパドトロワですが、引き続き調子は良さそうですよ!

「以前より、輸送に慣れるなど馬がタフになった。昨年は北海道から栗東へ輸送したときに体重が4キロ減ったのに、今年は同じ状況で4キロ増えたからね。昨年のスプリンターズSもベストの状態だったけれど、今年はそれ以上の状態で戦えそう」と鮫島師。

 そういえば、鮫島厩舎のGIでの最高着順は昨年のパドトロワのスプリンターズS2着。意外なことにまだGI未勝利なんですね。これに対して鮫島師は「ここで結果を出したいね」と力強く語っていました。

 担当の金山助手も「夏はずっと使ってきたので目に見えない疲れが心配。でも、大丈夫そうだし、本来はレースを続けて使ったほうがいいタイプなので楽しみですね」といいムードを強調していましたよ。目が離せません。

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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