地方競馬IPATで地方競馬活性化は図れるか!?

2012年09月26日(水) 18:00 9

 いよいよ来週火曜日、10月2日より地方競馬IPATの運用がスタートする。

 中央競馬の電話やインターネット投票会員を対象にした地方競馬の馬券発売サービスをこう称するのだが、さっそくこの日には金沢にて白山大賞典(JpnIII)が行われることになっており、翌3日にも大井で東京盃(JpnII)がある。

 2日(火)は金沢、大井、門別の全レースが、そして3日(水)には大井、門別、名古屋、園田の全レースがそれぞれ発売される予定らしい。

 基本的には火水木の平日と土日、特定の月曜日がこの地方競馬IPAT発売に充てられるとのこと。しかし、地方競馬情報サイトで確認してみると、日によって発売される競馬場が変わる上に、必ずしも火水木の発売体制がしっかり守られているわけでもなさそうだ。

 というのは、運用開始の2週目になると、8日(月)盛岡と高知を発売するものの、翌日が休みで10日(水)に浦和、門別、笠松、園田の4か所を発売した後、また11日(木)が休みとなるからだ。

 売ったり売らなかったりと分かりにくいのがやや気になる。理想的には、決まった曜日にはどこの馬券でも購入できる体制が望ましいが、現状ではさまざまな事情からそれは難しいらしい。

 また土日の中央競馬開催日に行われる地方競馬に関しては馬券購入が可能だという。とはいえ、発売時間は中央競馬の発走に準ずるようで、例えばナイターを実施している高知の場合には、1~5レース、あるいは1~7レースあたりまでである。

 中央競馬の電話、インターネット投票にはA-PATと即PATの二種類があり、平日の火水木に地方競馬IPATを利用できるのは即PATのみとなる。A-PATのほうは土日の中央開催日に行われる地方競馬だけしか馬券購入ができない。

 …と、あれこれ書き連ねたものの、これらは地方競馬IPAT発売に際して、改めて調べたものばかりだ。地方競馬や中央競馬の在宅投票に詳しい方ならば、この程度のことは先刻ご承知かも知れないが、いざこれから新たに地方競馬IPATを利用しようとなると、なかなかハードルが高い。若い世代ならばともかく、熟年以上では複雑過ぎて腰が引ける人も出てくるだろう。

 とはいえ、主なターゲットにしているのは平日に時間の取れる即PATの会員であり、中央競馬と重なる土日の売り上げにはそれほど大きな期待がかけられないものの、火水木あたりに行われる交流重賞などはそれなりの効果が見込めるのではなかろうか。

 そもそもが中央競馬と比較すると地方競馬の多くは売り上げ規模がまるで比較にならないレベルなので、1日あたりわずか1億円でも上乗せされると飛躍的に数字は伸びる。多くの関係者が期待を寄せる所以はそのあたりにある。

来週はオータムセール(写真は昨年の様子)

来週はオータムセール(写真は昨年の様子)

 もちろん生産地にとっても、競走馬の需要を確保する上で地方競馬の振興は不可欠の課題だ。現状ではギリギリの水準まで落ち込んでいる各地の競馬場の馬券売り上げが、横ばいから上昇に転じることが生産地にも必ずや良い効果をもたらすはずである。

 来月15日(月)からは新ひだか町静内の北海道市場にて今年最後の1歳馬市場となる「オータムセール」が開催される予定である。全4日間の日程で現在892頭(ただし欠場あり)が上場申込を済ませている。

 ちょうどタイミング良く地方競馬IPATでの発売が始まることになり、それが少しでも市場活況への追い風になると良いのだが。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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