週刊サラブレッド・レーシング・ポスト

2003年04月14日(月) 11:30

 先週の土曜日、ケンタッキー、ニューヨーク、アーカンソーの3地区で重要プレップが行われ、5月3日のケンタッキーダービーへ向けて戦線の全容がほぼ明らかになった。

 このままいけば、圧倒的1番人気で当日を迎えることになりそうなのが、12日にアケダクトで行われたウッドメモリアルSを制したエンパイアメーカー(父アンブライドルド)だ。前走のフロリダダービーに続いて、G1・2連勝。アーリントンミリオン勝馬チェスターハウス、セクレタリアトS勝馬チルセリング、サンタモニカH勝馬オネストレディーと、兄姉に3頭のG1勝馬がいるという血統馬である。

 これに次ぐ存在が、12日にキーンランドで行われたG1ブルーグラスSを制したピースルールズ(父ジュールズ)。こちらも、カフウェインを破った前走のG2ルイジアナダービーに続いて、重賞2連勝。エンパイアメーカーが、カリッド・アブドゥーラ殿下のジャドモント・ファームによる超良血の自家生産馬であるのに対し、ピースルールズはOBSマーチセールという2歳セールとしては2流の市場で、35000ドル、日本円でおよそ420万円という廉価で購入された叩き上げである。

 実は、エンパイアメーカー、ピースルールズの2頭とも、管理するのは西海岸のボビー・フランケル師。既に殿堂入りを果たしているトップトレーナーのフランケル師だが、これまでなぜか3歳3冠とは無縁。開業38年目にして悲願のダービー制覇がなるかどうかに、ファンの注目が集まっている。

 これを阻止するとしたら、最も可能性が高いのは、5日に行われた西海岸の最終プレップ、G1サンタアニタダービーを制したバディーギル(父イースタンエコー)であろうと言われている。これで、2月のG3ボールドウィンS、前走のG2サンフェリペSに続いて重賞3連勝。この馬が勝てば、1929年のクライドヴァンデューセン以来74年振りの、セン馬によるケンタッキーダービー制覇となる。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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