2012年10月17日(水) 18:00
15日(月)よりオータムセールが始まっている。主流は1歳馬だが、当歳市場が3年ぶりに復活し、初日に53頭が上場された。当初、62頭の上場申込があり、組合員の要望に応える形で当歳市場開催に踏み切ったのだが、当日になり9頭が欠場。結局、上場頭数は53頭にとどまった。
種牡馬別では圧倒的にエンパイアメーカーの産駒が多く、9頭(1頭欠場)に及んだ。産駒の競走成績が良いエンパイアメーカーは生産地でひじょうに人気が高く、今年の種付け頭数は実に236頭。自身の持つJBBA種牡馬の最多種付け頭数を32頭も更新する勢いで、今や日高にあっては屈指の名種牡馬と目されている。
現在、種牡馬ランキングは41位ながら、2012年は8頭が出走し6頭で14勝を挙げており、アーニングインデックスは6.36という驚異的な数字を残している。
生産者としては、種牡馬の評価が高いうちにできるだけ早くエンパイアメーカー産駒を売ってしまいたいところ。昨年より我が国で供用が始まり、前述したようにかなりの配合頭数を集めたことから当然のことながら産駒数も多い。おそらく来年になれば相当数の1歳馬が市場に出て来るものと予測されるので、当歳のうちに商談をまとめておきたいのだ。
コンキスタドレスの2012
コンキスタドレスの2012は、母の父Seeking the Gold、母コンキスタドレス自身が米国5勝馬でGI2着などの実績を有し、産駒にタマモクリエイト(父カリズマティック)がいる。新冠町・須崎牧場の生産。
またマリスカの2012は、母の父がアグネスタキオン。こちらは日高町の浦新徳司氏生産。ちなみに当歳市場において1000万円を超えた落札馬はこの2頭のみであった。
エンパイアメーカー産駒は8頭中4頭が落札され、計4788万円を売り上げた。実に当歳市場の売り上げ全体の43.5%を占めることになる。その一方で他の種牡馬産駒は総じて苦戦させられていた。同じくJBBA種牡馬のバゴ産駒も6頭の申込があり、そのうち5頭が上場されたが、いずれも主取りに終わり明暗を分けた。
もっとも、当歳市場の場合は近年売却率の伸び悩みが目立ち、2007年〜2009年までは10%台で推移していた経緯がある。そのために2010年と11年は休止のやむなきに至ったわけで、今年の26.4%はむしろ「健闘した」と言えるかも知れない。
大盛況に湧いたセレクトセール(当歳)とは対照的に、日高の市場は当歳から1歳へとシフトする傾向が著しく、主流はやはり1歳市場なのである。
なおその他では、やはりハーピンジャーやチチカステナンゴ、クロフネなどの社台系種牡馬が目立った。日高で繋養されている種牡馬の中では、サウスヴィグラス産駒が上場された2頭とも落札されていたのが目に付いた。
当歳市場が終わり、初日の後半より1歳市場が始まったが、それについては来週触れたい。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。