冷静な女、ノボリディアーナ

2012年10月25日(木) 18:00

 栗東は、だいぶ朝晩の冷え込みがきつくなってきました。とくに吹く風が強くなり、それに伴って空気も乾燥してきましたね。穏やかな秋を通り越して冬到来、といった感じです。なのに、昼間の日差しの強さは相変わらずですから、ほんとうにやっかい。

 そんな難しい気候だからこそ、あえて過保護にせずに「慣らす」ことの大切さを松田博資調教師は口にします。

「寒くなったからとすぐに馬服を着せたら、馬の体は馬服を着た状態で慣れる。でも競馬では馬服は着ない。大事にすることは大切だが、人間の生活と同じような感覚を馬にさせるのはどうかな」

 何より大切なのは、毎日手をかけてしっかり見ること。いつも書きますが「当たり前のこと」(松田博師)をし続けた後に結果がついてくるのだと思います。

ディアマイベイビー"

ディアマイベイビー

 さて、松田博厩舎といえば阪神JF。ファンタジーSに出走予定のディアマイベイビーもぜひ駒を進めてほしいところです。しかし、まだ課題が多いのも事実。前走の勝ち方について、松田博師は納得していない様子です。

「スピードがあるのはいいが、逃げて勝ったというのがどうか。距離をもたせたいので、ためる競馬をさせたい。その点、今度はルメールだから道中は手綱を引っ張ってくれるだろう」

 ちなみに担当しているのはブエナビスタを手がけた山口厩務員。なるほど、やっぱり。結果を出す職人さんはいつも同じ人です。

 松田博厩舎のすぐ裏には松永昌厩舎がありますが、ここも腕利きの職人さんが揃っています。番頭の中山助手も素晴らしい職人さん。いつもためになるお話をたくさんしてくれます。ほんと、ありがとうございます。

新馬戦を差し切りV、ノボリディアーナ

新馬戦を差し切りV、ノボリディアーナ

 ディアマイベイビーと同じくファンタジーSを目論むノボリディアーナは新馬戦の内容がよかったですよね。3コーナーでいちど挟まれたときも、へんに舞い上がったりパニックになることなく冷静に立ち回っていました。

「自在性があるし、牝馬のわりにテンションが無駄に上がることがないのがいいところだね」(中山助手)

 走破タイムこそ目立ちませんが、人間にたとえるなら女子中学生の集まりのような2歳牝馬戦だけにこの精神力の強さは強力な武器になると見ています。

「レース前に幸騎手にいちど追い切りに跨ってもらう予定」(中山助手)とのこと。ここまではとても順調ですよ。

カレンブラックヒル"

カレンブラックヒル

 最後に天皇賞・秋について少々。

 先週、カレンブラックヒルのことは書いたので今週は取り上げないつもりでいましたが…。すれ違ったとき、思わずシャッターを押し、写真を見たら、みなさんにも見ていただきたくなりました。なんともいい雰囲気でしょ。一方、平田師は相変わら、ひょうひょうとしています。

「秋の目標は天皇賞だった。毎日王冠では秋緒戦、どんな競馬をするかと思ったが強い内容だった。余裕を残して仕上げたつもりだったが、馬体重は思った以上に減り仕上がっていた。想像以上の結果。まだ底を見せていないかんじ。引き出しはまだあると思う」(平田師)

 5連勝中、無敗で挑む天皇賞・秋。こんなチャンス、なかなかないですよね。

「1戦1戦全力出していきたい。あまり無敗だということは意識せず、チャレンジャーの気持ちで臨みたい。期待と不安が入り交じっているが、楽しみ。とにかく無事に天皇賞に出走できるように努力していこうと思います。がんばります」(平田師)

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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