アルテミスS

2012年11月02日(金) 18:00

 新設の重賞といっても、コースや距離にはひとつも変化はなく、そう振りかぶることはないが、レースのイメージが沸いてこないことだけは確かである。JRAの重賞のうち、まだ「10回」に達していないグレードレースは、次の7競走。その創設から第1〜2回の記録を並べてみると、

3月「オーシャンS」芝1200m
1回:87,950円、2回:4,350円

4月「福島牝馬S」芝1800m
1回:10,170円、2回:17,770円

8月「レパードS」ダート1800m
1回:920円、2回:1,720円

8月「キーンランドC」芝1200m
1回:1,040円、2回:1,960円

11月「みやこS」ダート1800m
1回:470円、2回:980円

12月「カペラS」ダート1200m
1回:7,760円、2回:970円

12月「阪神C」芝1400m
1回:5,390円、2回:6,010円

 なにも材料がなかったので、思いつくままに並べてみただけ。申し訳ない。残念ながらヒントになるような傾向はほとんどなかったが、「芝」の新設重賞は波乱含み。一方、「ダート」の重賞はほとんど荒れていない記録が出てきた。

 ダートの高額条件のレースは展開うんぬん、ペースがどうのはないから「力通り」のケースが多く、芝のレースは最近1400mでもスローになったりするくらいだから、流れ(ペース)による波乱が多い。これは新設重賞に限らない傾向だが、新しい重賞を並べてみることにより、改めてそのことを再確認した。

 アルテミスSのポイントは、東京の1600mを狙ってきたくらいだから、多くの陣営が先を見据え、将来の展望を描くために……だろう。となると、先を争っての厳しいペースの展開になる可能性はほとんどない。

 ましてこのメンバー、新馬、未勝利、特別戦まですべて振り返っても、「逃げ切り勝ち」があるのは、7.エイシンラトゥナと、13.ウインプリメーラの2頭だけである。いままで主導権を握ったレースをしていない馬が、東京の1600mに移って、一転、逃げ戦法を主張するとは考えにくい。

 エイシンラトゥナ、ウインプリメーラにしてさえ、今回は「できれば折り合って流れに乗りたい…」。そんなトーンのコメントだから、行くとも限らない。ただし、この2頭は行って不思議がないので軽視禁物。もっとも先手を取ってもスローは見えている。レース全体は猛烈に上がりの速い「切れ味」比べのレースだろう。

 行きたがったから、折り合いをつけようと下げたためもあるが、前回「47秒9−46秒8」=1分34秒7というスローのデイリー杯2歳S1600mを、最後方から大外に回って、上がり33秒2を記録したコレクターアイテム(父ハーツクライ)に注目。

 先週の京都で2着に突っ込んだリフトザウイングス、あるいはきょうの京洛Sのツルマレオンなど、ハーツクライ産駒のうちスピードのあるタイプは、先行スピードは乏しいが、控えると切れる。コレクターアイテムは、前回のように最後方まで下げるようではアウトで、東京の多頭数だからこそ中団の馬群の中で進めるようなレースをして欲しいが、本質スピード系の切れが東京コースで生きるだろう。

 スピードのある前出の2頭のほか、時計は平凡でも楽々と差し返して勝ったテンシンランマン、東京が合いそうなネロディアマンテ、新馬のズブさは解消してくると思えるバリローチェ、東京1600mを好時計勝ちしているジーニマジックに流したい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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