2012年11月07日(水) 18:00
先週の土日は東京競馬場にいた。GIレースのないこの週に、恒例となったジョッキーベイビーズ(以下JB)が4日(日)に行われたからである。2日間にわたり、出場する少年少女たちを密着取材した。
数えて4回目となる今年は、新たに東北地区が加わり、その分関西枠が2から1に減らされた。北は北海道から南は九州まで、全国各地で乗馬に勤しむ子供たちに憧れの舞台を提供するべく始められたJBは、過去3回いずれも8騎が出走し全馬が無事に完走。ファンの目を楽しませてくれた。
まずは乗る馬を抽選
JRAからは「安全第一」で「全馬無事にゴールする」のが最大の目標であること、また鞭の使用は認めないこと、などが最初に示された。さらに2日間の日程やレースについての説明の後、騎乗馬の抽選になった。
関東や関西、東北の予選にはJRAのポニーが供されており、それらの地区予選の様子は、動画サイトなどで配信されていることから、8人はある程度ポニーたちの能力を把握できている。
したがって、人気のある馬とそうでない馬との落差が生じる。しかしくじ引きは運に大きく左右されるため、ここでは悲喜こもごもの光景が見られた。思い通りの馬を引いた子もいれば、露骨に落胆の色を浮かべる子もいてさまざまであった。
前日練習は午後4時開始になった。ポニーが乗馬苑に運ばれてきたのは午後3時を回ってからで、その後手入れや馬装である。8人はそれぞれコンビを組む相棒と対面し、コミュニケーションを取ろうとする。
最初に決定した騎乗馬は次の通りであった。
1.木村和士君(北海道、中1) サクラダンディ 2.大池澪奈さん(北海道、小6) オオタニハヤテ 3.丹野愛依さん(東北、小6) 栗姫 4.青木一馬君(関東、中1) コリス 5.佐藤翔馬君(関東、小2) ブッチー 6.小林勝太君(長野、小4) ユキノヒビキ 7.松若流星君(関西、中1) チェリー 8.小峯大哉君(九州、中1) レインボー
因みに枠順は予め決められており、北から南に向かって1〜8番まで並ぶ。もっとも直線400mのレースなので枠順そのものには大した違いはない。
落馬ハプニングも
夕闇の中でリハ開始
ブッチーは昨年も練習時に騎乗者を落馬させた“前科”があるが、今年は安全第一の観点から、JRA側が特例措置として騎乗馬変更に踏み切った。小2の佐藤翔馬君は見るからに小柄で力も弱い。本番でもし落馬でもすれば大変だという判断が下され、8頭中最も大人しいという栗姫に「乗り替わる」ことになった。
もちろん、これには同意が必要だが、翔馬君の保護者は「皆さんに迷惑をかけたくないので当然です」と申し訳なさそうに言っており、問題はなさそうだ。また栗姫を取り上げられる形となった3番の丹野愛依さんも、抽選会で栗姫を引き当てた時にやや不満そうな表情だったので、むしろ乗り替わりは歓迎である。
結局、より公平を期するために、他の子にも声をかけ再抽選の希望を募ることになった。最初の抽選で引き当てた相棒の能力にやや不安を感じている(と思われる)1番木村和士君と7番松若流星君が再抽選に参加し、結局、木村君、丹野さん、松若君の3名で再度くじ引きを実施した結果、騎乗馬は以下の通りに決まった。
1.木村君 チェリー 2.大池さん オオタニハヤテ 3.丹野さん ブッチー 4.青木君 コリス 5.佐藤君 栗姫 6.小林君 ユキノヒビキ 7.松若君 サクラダンディ 8.小峯君 レインボー
前日練習はこんなこともあって、本馬場での試走が遅くなった。最終12レース終了後、4時40分に馬場入りする予定だったが、5時を過ぎたあたりまでずれ込んだ。幸い、乗り替わってからの佐藤翔馬君は栗姫とも相性が良さそうであった。
第4回優勝者は小林勝太君
1着 小林 勝太君 32秒4 2着 青木 一馬君 クビ 3着 大池 澪奈さん 2馬身 4着 木村 和士君 4馬身 5着 小峯 大哉君 2分の1馬身
勝った小林勝太君は長野代表。4回目にして初めて長野代表がこのレースに優勝した。また敢闘賞には最年少の佐藤翔馬君が選出された。(以下次週につづく)
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。