レインボーダリアの輝く血統

2012年11月15日(木) 12:00

 ぼんやりしているように見えながら、実は四方八方に細かく気を配っている。それなのにそういう気配りは、周囲からうかがい知ることはできず、どう見てもただぼんやり座っているようにしか見えない。大所高所に立って全体の動きに気を配ると、こんな風になるのではないか。

 組織全体がこの存在ひとつでどっしりと安定しているように思える。要するに、勘所を押さえておくだけで、こうしろ、ああしろといった口出しは控え、もっぱらみなの活力にゆだねるのだ。

 中国の故事にこんな手法で国を治めた宰相の成功例が残されている。実にどっしりとして、ゆったり大きいく構える人物像が思い浮かぶ話しではないか。

 競走馬の血統には、こんなスケールを関しさせるものがある。そして、これらは秋に大仕事をすることがあるのだ。タフでスタミナが求められる大舞台で穴馬さがしに明け暮れるとき、目の前にこんな血統が出てきたら好運だ。

 菊花賞2着のスカイディグニティ、そしてエリザベス女王杯で初のGI制覇を達成したレインボーダリア、ともにひと昔前の、あの黄金配合なのだ。父がブライアンズタイム、母のノーザンテースト。それぞ、かつて追い求めた配合ではないか。ゆったりとスケールがあって、タフでスタミナがあり、どっしりと構える雰囲気に満ち、大きな仕事をやってくれそうな、そんな血統だ。

 サラブレッドだから、そうは言っても、四方に細かく気を配る神経はもっている。勘所とはレースでは勝負所、それもしっかりもっている。点火を平定するとはどういうことか。そこまで読み取れるとは思えないか。

 世の中は、ステイゴールドにメジロマックイーンの成功例で盛り上がっているが、ともに派手さの感じられるところが似ている。

 ひとつの血統の味方に楽しみが増えた。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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