気になる武豊騎手のキズナ評は?

2012年12月13日(木) 18:00

 最近の栗東は、晴れの日も時折スコールのような雨が降ります。車は毎日しっかり濡れているし、自転車で出かけようものならどのタイミングで降られるかわからない。そんな毎日なのです。かなり乾燥しているし、日差しの強い日もあるのですが…。馬場はどうにもスッキリと乾かず、馬場状態は悪くなるばかりです。

武豊騎手と新コンビ、キズナ

武豊騎手と新コンビ、キズナ

 12日朝の馬場もやはり悪いまま。そんな中、ラジオNIKKEI杯2歳Sを目指すキズナが坂路で追い切られました。鞍上は武豊騎手で時計は53.9〜39.5〜26.1〜13.4秒。ダローネガとの併走でしたが、キズナは前を走ったまま差もほとんど詰まらずにゴールしていました。

 武豊騎手によれば、佐々木調教師からは「一杯にいって、という指示」(武豊騎手)だったそうです。「相手が走るので、前で待っていた。(キズナは調教では)そんなに動かないと聞いていたけど、今日の馬場でこれなら『動くな』と思った」

 ただし、「確かに坂路は決して得意そうな走りではない」(武豊騎手)とのこと。それでこれだけ動くのですから、期待を抱くなというのが無理な注文でしょう。そして、武豊騎手の自虐ブラックジョーク、ひさびさに聞きました。

「久しぶりにこんなにいい馬に乗ったよ(笑)」

 こんな台詞、豊さんから聞く日がくるとは夢にも思わなかったのでちょっとビックリ。「せっかくこれだけの馬に乗る機会に恵まれたので、期待に応えたい」そして、気になる豊さんのキズナ評は?

「乗り味はいいね。まだ未完成な感じだけど。性格はまだ子供っぽいし、やんちゃそう。走りについては、まだ今日だけではわからないけど、奥がありそうな感じがするよ。お姉さん(ファレノプシス)とはタイプが違うね。あんまり似ているという印象は受けなかった。走りは父のディープインパクトに似ているね」

 また、豊さんの軽快なコメントをまた聞きたいものです。

 続いて西園厩舎。まだまだ勢いは止まりませんね。先週のエリカ賞では人気馬を尻目にマイネルマエストロがすいすいと逃げ切り勝ちをおさめました。「展開にも恵まれたけれど、追ってからもしっかりしていた。今後が楽しみです」と担当の甲斐助手はニッコリ。その甲斐助手、もう1頭の担当馬は朝日杯FSに出走するマイネルエテルネルです。今年6勝と厩舎の中でもさらにノリに乗っています。

マイネルエテルネル

マイネルエテルネル

 今週の坂路での追い切りは53.1〜38.8〜26.5〜13.9秒と終いが少々かかっていますが、先週に引き続き馬場が悪かったので仕方のないところでしょう。坂路のコンディションの悪さはエーシントップの1番時計(51.2〜37.7〜25.6〜13.3秒)が証明しています。

「左回りだと少々右にもたれるところがあるけど、右回りは問題ないはずです。引き続き、調子もいいですよ」(甲斐助手)

 最後にシゲルスダチ。尾張Sで1番人気に支持されましたが、結果はなんとシンガリ。スタート直後に挟まれた影響もあり、まったくいいところがありませんでした。それでも、大差ない負けだったのは救いでしょう。

「左回りがよくないのかも」と西園師。引き続き、厩舎において休まるとのこと。次走は淀短距離Sあたりを視野に入れるとのことでした。

 当のスダチですが、先週の競馬で疲れているのか、鈴木さんがスダチの口元にニンニク味噌を近づけても顔を背ける次第。やがて、そそくさと脚をたたみ、体を横にバタンキュー。カイバを少し残したまま、寝てしまいました。このところ、毎日雨が降り馬場が相当悪くなっていることもあってか、ちょっと疲れが出ているようですね。

 それにしても、その姿はなんとも無防備! 普通、競走馬は防衛本能なのか、人前で寝ません。しかし、スダチはカメラの前でも実にのびのびと多彩な表情を見せてくれます。だから、スダチのことを目で追わずにいられないのです。

スダチ、ただいま爆睡中

スダチ、ただいま爆睡中

 そして、スダチがこんなにすくすくのびのびと過ごせるのは担当の鈴木さんの人柄が大きいなぁと思います。実は鈴木さん、スダチをはじめ担当の馬たちのことを「この人」と呼び、馬の気持ちをとても大切にしながら扱います。

 かつて担当していたはヘッドライナーはいま土佐黒潮牧場で余生を送っていますが、鈴木さんは今なお、いつもライ(鈴木さんがつけたヘッドライナーのアダナです)のことを気にかけています。仕事という枠を通り越して、ホントに担当馬のことを大切にしているのが痛いほど伝わります。

「今年はライが引退し、スダチとともに過ごした一年でした。ヤンチャが過ぎて本当に憎たらしくて仕方ない時もあります(苦笑)。でも、NHKマイルCの落馬事故のときはただただ心配で、必死にスダチの無事だけを祈ってコースまで迎えにいきました。あのとき、無事を確認した瞬間にホッとしてスダチをギュッと抱きしめましたね…。普段はうるさいので絶対に無理ですが(苦笑)、あのときだけはスダチは私の腕の中で大人しくしていました。普通なら大事故になっても仕方ない場面で無事なのは運以外のなにものでもない。“この人は何か持ってますよ」

 来年も、そんなスダチの姿を追いかけていきたいと思います。

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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