朝日杯FSでのロゴタイプ先手必勝の法則

2012年12月20日(木) 12:00

 先んずれば人を制し、後発では人に制せられる。確かに先手必勝は戦いの場にあっては鉄則と言える。チャンスと見たら、すかさずたたみかけていく、これはいろいろな場面で力となってきた教えだ。では、先んずればそれで十分かと言うと、必ずしもそうでないこともよく知られている。二の矢、三の矢を用意していなかったために事が成就しなかったという教訓も残されている。それだけ、世の中単純ではない。

 つまり、いかなる場合も起こりうる場面を想定してその対策を持ち合わせていなければならないということだが、そこまで用意周到であるのは容易なことではない。それでも取りあえずは、先発の利を確保することを第一に考えるべきだろう。

 大本命コディーノを抜かせず、2歳王者の座を仕留めたロゴタイプの戦いぶりに先んじて制する姿を見た。勝負に出た時のミルコ・デムーロ騎手の思い切りは素晴らしいが、前半は早いペースにマコ込まれずに好位につけてスタミナを温存。行きたがるのをなだめて後ろにつけたコディーノが動き出すより先にスパートした。

 失速した先行勢をかわすときのデムーロ騎手に迷いはなく、思い切りはいい。直線の坂を上がっていく外からのコディーノが迫ったときには、誰の目にもやはりここらかと映ったに違いない。だが、道中のスタミナ温存の策が備えとなり、早めに後続を突き放す先んずる戦法で大本命をクビ差押さえて勝ったのだ。

 この早い流れを、自ら動いて勝利したのだからロゴタイプの力は本物と思っていい。この成果は、今後の戦いのベースになるから大きい。もちろん、敗れたと言ってもあの接戦だから、コディーノが駄目とは言えない。春からは、取りあえず2000mの戦いからスタートする。面白くなった。先んじて制した2歳王者は、もちろんこのままではないだろうから、次なる手に注目しよう。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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