新春に考える、競馬との付き合い方

2013年01月10日(木) 12:00

 新しい1年がスタートした。ほどほどが理想と思うようになって、いつも穏やかに正月を送っている。開幕週の3つの重賞は、マイル戦の京都金杯とシンザン記念が1番人気馬の勝利、素直に安堵した。

 中山金杯とて、一番人気ジャスタウェイは追い込み切れずに3着だったが、スローペースを見越して好位につけて勝ったタッチミーノットは2番人気、心動揺するほどのこともなかった。競馬もほどほどが理想と思える。みんなの思いがついていける競馬であることが一番、あまり刺激的であっては心が離れていく。

 このほどほど、いったい何をもってするかだが、これが一番大切な点。古来の書物にはその規範が遣わされている。過ぎたるは及ばざるがごとし、言ってみればこの言葉でくくられることが多い。そしてこれは、競馬の中でも立派に通用するのだ。

 例えば、まず傲り(おごり)は長ずべからず。傲慢で鼻もちならない態度は競馬で勝ったときに起こしやすい。周囲の反感を買って、結局は何をしても上手くいかなくなる。いいときほど腰を低く、謙虚に振る舞いたい。

 次に、欲はほしいままにすべからず。競馬はとうていこれを許してはくれない。まして連戦連勝なんてあり得ないから、ひとつ勝ったら次は勝ちを譲るぐらいの心持ちが余裕を生む。

 そして、志は満たしむべからず。満ち足りる状況を望むのはよろしくなく、満足してはチャレンジ精神を失わせてしまう。やる気、向う気、張り合いは、少し足りるぐらいのほうが活気が出る。確かにそうだ。

 最後に、楽しみは極むべからず。競馬で楽しむのは願ってもないことでも、ほどほどにしなさいと歯止めをかけている。肝心なことをおろそかにしてはならないのだ。

 さて、ほどほどであるという思いを理想にして、どう競馬と付き合っていくか。やはり競馬もほどほどであることがその前提にある。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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