クイーンC

2013年02月08日(金) 18:00

 11月のアルテミスS(1600m)組、1月のフェアリーS(1600m)や菜の花賞(1600m)のグループなど、この時期になるとすでに対戦している馬が多い。

 対戦成績を基にした能力比較がもっとも重要だが、クラシックを目指したい馬が大半のここは、上昇力が問われる。もう数戦もして1勝馬はちょっと勝ち馬にはなりにくい。

 東京と京都でステップの前哨戦が組まれているためか、先週の東京新聞杯は「47.6〜45.3秒=1分32秒9」。きさらぎ賞は「49.6〜(12.6)〜46.7秒」=1分48秒9。その前の週のシルクロードSなど「35.0〜33.6秒」=1分08秒6。

 GIII級が別に超スローペースになって悪いことはなく、興味が削がれるわけでもないが、地力アップ、上昇力が問われる3歳馬の場合は、この時期にあまりぬるいレースをしていると、目標のビッグレースで破綻をきたす危険大となる。やぶれてほころぶように前哨戦はあまり中身がなかったことが明らかになり、GIの波乱がもたらされる。

 クイーンCは、昨年が「49.7〜46.9秒」=1分36秒6。レースの上がり3ハロンが33.9秒だった。これは特異なスローだが、その前も平均するとだいたい「47.5〜47.5秒」=1分35秒0前後のゆったりペースになることがほとんど。今年も、各馬の一連のレース運びから、ゆるい流れになる公算大だろう。

 流れを読んで、最初から先行策を取りそうな人馬がいたら要警戒。また、先週の東京新聞杯ではないが、切れ味こそが身上タイプなら、インから突っ込んで来そうなイメージのわく馬が狙いだろう。それが内枠の馬なら理想的。

 また、桜花賞につづくマイル重賞ではあるが、遠大な展望だと、近年のこのレースの出走馬は、桜花賞よりオークスの伏兵となるケースのほうが多い。そういう視点ではマイル適性にあまりとらわれることなく、スケールや将来性重視でいきたい。

 イリュミナンス(父マンハッタンカフェ)から入りたい。もちろん、現時点でのランキングは明らかにコレクターアイテム(父ハーツクライ)のほうが上だが、コレクターアイテムは、なにもこのGIIIが必勝態勢の目標のレースではない。追い切りは、桜花賞を見据えて8〜9分のデキのように映った。

 一方、イリュミナンスは、結果的にあまり合っていたとは思えない中山(フェアリーS)で、最後は間を割るように突っ込んだが、0.0秒差の4着。クラシックに希望をつなぐためにはここはもう落とせない。必死の関門に向かう再度の遠征である。

 大跳びのフットワークは明らかに東京向き。兄のフラガラッハ(父デュランダル)はマイル中心に7勝を記録する追い込み馬だが、牝系にはスタミナ系の血が流れている。3代母シュートアライン(父ハイライン)は、12Fのヨークシャーオークスと、愛オークスをともに完勝し、20FのアスコットGC2着の星もある。今回の内容しだいでは、桜花賞というよりオークス候補に浮上しても不思議はない。

 コレクターアイテムと、この中間の動きが光っているトロワボヌール(父バゴ)本線。トロワボヌールの母チューニーは03年のこのレースの勝ち馬で、オークス2着馬である。この馬も快速系ではない。そして、フェアリーSで接戦のスイートサルサまでが強敵。

 連穴を、サトノフェアリー、ウキヨノカゼ、オーキッドレイとしたい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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