ハイレベル、社台スタリオン種牡馬展示会

2013年02月13日(水) 18:00

ディープインパクト

ディープインパクト

 今年のトップを切って12日(火)に社台スタリオンで種牡馬展示会が開催された。

 日高東部では未明から10センチを超える降雪があったものの、社台スタリオンのある安平町は天候にも恵まれ、風もなく時折雲がかかる程度の絶好のコンディションであった。

 種牡馬展示会の開始時刻は11時半。例年通り、集まった人々はまず軽食コーナーにて腹ごしらえをした後に展示会場へと向かう。社台スタリオンの場合は完全招待制で実施されており、ここに入れるのは原則として生産牧場もしくはその関係者のみである。一頃はかなり多くの部外者が紛れ込んでいて混雑を極め、明らかに業界人ではない顔ぶれが少なくなかった。しかし今はそういう部分はかなり改善されている。

 ダーレースタリオンを除いて、他の種馬場ではいちいち入り口で入場者をチェックするようなことはないのだが、ここだけは違う。招待状を提示しなければ入れないのだ。

 招待状は予め各生産牧場や関係者のところに郵送される。このところ年々、日高では生産牧場数が少しずつ減ってきており、それに伴い生産名簿上で生産馬がいなくなってしまえば自動的に案内状も届かなくなる。

ディープブリランテ

ディープブリランテ

ルーラーシップ

ルーラーシップ

 にもかかわらず、明らかにファンと思しき人々が多数混じっているのもまたここの大きな特徴で、カメラの装備率も高い。ディープインパクトやキングカメハメハなどのトップクラスの種牡馬はもちろんのこと、今年から種牡馬になった馬(ディープブリランテ、ルーラーシップやスマートファルコン)もいれば、タートルボウルのような新しい輸入種牡馬もいて、これらが一堂に展示される機会は滅多にないことから根強い人気がある。

 それにしても、タメ息しか出ないようなラインナップだ。今回展示されたのは全部で29頭。最初に新種牡馬4頭が紹介され、続いて今年初産駒が誕生する(昨年より供用開始となった)6頭(ワークフォース、ピクワールピサ、ダノンシャンティなど)が登場した。

 次に今年産駒デビュー予定のカンパニーとヴィクトリー、続いて来年産駒がデビュー予定のハーピンジャー、キンシャサノキセキ、ヴァーミリアンが展示された。

 新種牡馬だけは比較的時間をかけて、じっくりと展示される。矢作調教師や角居調教師、小崎調教師、岩田騎手、武豊騎手、大川徹オーナーなどが次々に新種牡馬が紹介されるたびにマイクを持ち、愛馬の門出に際してエールを送るのもお馴染みの光景だ。

 それにしても、これだけハイレベルの種牡馬29頭が次々に登場してくると、満腹感で一杯になってしまう。ヴァーミリアンの後は、すでに産駒が走っている種牡馬たちがどんどん出て来る。タニノギムレット、メイショウサムソン、フレンチデピュティと続き、ゴールドアリュール、ネオユニバース、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、マンハッタンカフェなどが次から次に登場する。リーディングサイアーの上位にひしめく一流どころが、これでもかこれでもかと果てしなく登場する感じである。

キングカメハメハ

キングカメハメハ

 いよいよ残り少なくなってきた。ダイワメジャー、クロフネ、ハーツクライと続き、キングカメハメハが展示され、最後のトリはもちろんディープインパクトである。ギャラリーが二重三重に周囲を取り囲む中を、ゆったりと睥睨するがごとくディープが周回して行く。王者の風格が漂うディープインパクトが29番目に登場して、これでようやく一巡となった。

 一通り展示予定の種牡馬が登場し終わった後、再度4頭の新種牡馬が紹介され、社台スタリオンの展示会は無事に終わった。周知の通り、昨年度の中央競馬リーディングサイアーランキングにおいて、上位20傑のうち実に17頭が社台スタリオンの繋養馬で占められた。繋養先が変わり日高に移籍した種牡馬たちもいるが、ほぼ「完全制覇」と表現しても差し支えない寡占状態である。芝からダートから、短距離から長距離まで、それこそパラエティに富んだラインナップで、まったく隙のない布陣だ。

 ただ、今年は日高でも各種馬場がそれぞれ新たな種牡馬を導入しており、これから21日(木)のブリーダーススタリオンまで、10日間のうちに各所で展示会が予定されている。ストリートセンスやキングズベスト(ダーレースタリオン)、アイルハヴアナザー(ビッグレッドファーム)、サマーバード(JBBA)など注目馬も多く、種牡馬の世界における競争が一段と激化しそうな気配である。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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